2012年06月25日-1
個人奨学金口座(仮称)の導入を提唱~日証協

 少子・高齢化や人口の減少が進む我が国においては、限られた資本を効率的に活用することが、経済の活力を取り戻し、豊かな生活を維持していく上において重要な課題であるとして、日本証券業協会は、2011年9月に「今後の社会構造の変化を見据えた証券税制等のあり方に関する懇談会」(座長:井潟正彦野村資本市場研究所執行役員)を設置し、中長期的な観点から検討を行ってきたが、このほどその報告書をまとめた。

 懇談会では、次世代を担う人材の育成のための大学教育資金の確保に関して自助努力を後押しするため「個人奨学金口座」(仮称)の導入を提唱している。その意義としては、現在の我が国に欠けている「教育資金を先に貯める」ための制度を創設し、家計の自助努力を支援できること。また、長期投資の担い手となることが期待される子育て世代の教育資金作りニーズに応えられることや、投資教育を兼ねられることも指摘している。

 このため、口座での運用益非課税と贈与税基礎控除枠の前倒し利用を可能とする税制改正を要望すべきであるとしている。具体的には、両親や祖父母などの親族が子(や孫)を指定した「個人奨学金口座」へ資金を拠出した場合に、贈与税の対象となる場合もあるが、5年分の贈与税基礎控除枠の前倒し利用が認められるものとする。これにより、アジアで5位に落ちた大学進学率の復活を図るべきだとしている。

 また、早期に取り組むべきこと(税制改正要望の検討・実施)として、我が国の少子高齢化は今後急速に進行することが予想されるが、少子高齢化は「今後の社会構造の変化」ではなく、既に着実に進行している問題でもあり、議論の過程で出された提唱の中には、今すぐにでも着手する必要が求められるものも認められる。関係各位に対し、本懇談会で提唱された税制改正要望項目を積極的に取り上げてもらうことを要望している。

 そのほか、証券界として確定拠出年金制度のさらなる普及のため、その問題点につき税制改正を要望。2014年に制度導入が予定される日本版ISA については、その拡充を図るとともに、個人投資者の利便性及び金融商品取引業者等の実務に配慮した簡素なものとすることについて税制改正を要望。個人奨学金口座(仮称)の導入に向けた詳細なスキームづくりの検討を行うとともに、税制改正要望を行う、と報告している。

 同報告書(全文)は↓
 http://www.jsda.or.jp/katsudou/kaigi/chousa/syokenzeisei/files/120621_houkokusyo.pdf

ウィンドウを閉じる