2012年06月21日-1
不服申立て・訴訟の納税者救済・勝訴割合は10.6%

 納税者が国税当局の処分に不満がある場合は、税務署等に対する異議申立てや国税不服審判所に対する審査請求という行政上の救済制度と、さらには訴訟を起こして裁判所に処分の是正を求める司法上の制度がある。国税庁・国税不服審判所が18日に公表した不服の申立て及び訴訟の概要によると、今年3月までの1年間(2011年度)の不服申立て・税務訴訟を通しての納税者救済・勝訴割合は10.6%となったことが分かった。

 異議申立ての発生件数は、申告所得税(24.1%減)、法人税等(13.7%減)、徴収関係(49.0%減)など軒並み減少し、全体では前年度から25.5%減の3803件となった。処理件数は、「取下げ」641件、「却下」413件、「棄却」3082件、「一部取消」331件、「全部取消」44件の合計4511件。納税者の主張が一部でも認められたのは375件となり、処理件数全体に占める割合(救済割合)は前年度を1.7ポイント下回る8.3%だった。

 また、税務署の処分を不服とする国税不服審判所への審査請求の発生件数は、申告所得税(14.3%増)、相続・贈与税(34.1%増)など、徴収関係(34.0%減)以外は増加し、全体では前年度から16.1%増の3580件。処理件数は、「取下げ」284件、「却下」285件、「棄却」1994件、「一部取消」285件、「全部取消」119件の合計2967件だった。納税者の主張が何らかの形で認められた救済割合は同0.7ポイント増の13.6%となった。

 一方、訴訟となった発生件数は、所得税(13.4%増)、法人税(5.0%増)、相続・贈与税(20.9%増)など、ほとんどの税目で増加したことから前年度を11.7%上回る391件だった。終結件数は、「取下げ」27件、「却下」15件、「棄却」287件、「国の一部敗訴」20件、「同全部敗訴」31件の合計380件。国側の敗訴(納税者勝訴)割合は同5.6ポイント増の13.4%となり、最近10年間では3番目に高い割合となった。

 このような納税者救済・勝訴割合は、あくまでも結果論だが、全体でみると、2011年度中に異議申立て・審査請求・訴訟を通して納税者の主張が一部でも認められたのは、処理・訴訟の終結件数の合計7858件(前年度8817件)のうち830件(同982件)で、その割合は10.6%(同11.1%)と、前年度に比べ0.5ポイント減少している。これは、異議申し立てにおける救済割合の減少が要因とみられる。

 不服の申立て及び訴訟の概要は↓
 http://www.nta.go.jp/kohyo/press/press/2011/fufuku_h23/index.htm

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