2012年06月14日-4
日税連が2013年度税制に関する建議を決定

 日本税理士会連合会(池田隼啓会長)は、5月の正副会長会議で「2013年度・税制改正に関する建議書」を一部修正のうえ決定した。「はじめに」、「税制に対する基本的な視点」、「震災対応税制」(2項目)、「所得税」(12項目)、「法人税」(6項目)、「消費税」(4項目)、「相続税・贈与税」(3項目)、「地方税」(3項目)、「複数税目共通」(4項目)、「納税環境整備・その他」(7項目)で建議項目は39項目にのぼっている。

 消費税については、複数税率化は特定の物品やサービスに対して恩典を与えることになり政治的恣意性の介入につながり、かつての物品税と同様の不公平が生ずる点において適切ではない、として単一税率の維持を主張。今後、さらなる税率の引上げがある場合は、複数税率導入の可否について、事業者の負担、適用範囲の問題、逆進性対策などを含め慎重かつ広範に検討する必要があるとの考えを示した。

 いわゆる逆進性の問題の解決策として、年収が一定以下の者に生活必需品等に係る消費税相当額を所得税において還付させる給付付き税額控除制度が提案されているが、生活必需品に軽減税率を導入することと比較すると、適当な措置であると考えられる。ただし、逆進の程度を精密に分析し、マイナンバー制度の導入との関連性も考慮し、給付手続きと給付方法が複雑にならないように配慮した制度を検討する必要があるとしている。

 また、取引慣行や中小企業の納税事務負担に配慮した帳簿方式については、請求書等の保存などにより制度の透明性は十分確保されており、インボイス方式によらずとも、現行の帳簿方式で正確な消費税額の計算が行われている。事業者が法人税や所得税の申告のために作成している会計帳簿によって仕入税額控除を行えるようにした仕組みは、インボイス方式と比べ事業者の納税事務負担をはるかに少なくしていると指摘した。

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