2012年06月14日-3
簡易な給付措置創設で法案修正実現の可能性

 消費税率引上げに伴う逆進性対策に関し、自民党の茂木敏光政調会長は10日のNHK番組で、消費税率引上げに伴う低所得者対策について、現金を渡す「簡素な給付措置」を当面実施し、最終的には食料品などの生活必需品の税率を低くする軽減税率を導入すべきだとの考えを表明した。公明党幹部も同日、簡素な給付措置について、「制度として導入するなら反対しない」と条件付きで賛成する考えを示した。

 消費税率引上げ関連法案は、8%への税率引上げ時に簡素な給付措置を実施するとしている。民主、自民、公明3党による社会保障・税一体改革関連法案の修正協議で、当初は合意が難しいとみられていたが、実施に合意する可能性が出てきた。茂木氏は、「まず簡易な給付措置が必要だ。額は年間1万円の給付になる。その先は軽減税率を基本としたい」と述べた。
 
  一方、消費税率引上げに伴う逆進性対策として野党などが求める食料品軽減税率を導入した場合の問題点として民主党は、(1)逆進性対策としての効果が高くない、(2)軽減税率の適用範囲の線引きが難しい、(3)複数税率によって消費者や生産者が混乱する、(4)いったん軽減税率が導入されると標準税率に戻すことは困難になる、(5)業界団体からの軽減税率の適用範囲拡大の要望に反対することは難しくなる。
 
  さらに、(6)課税対象が狭くなり税収減になる、(7)事業者の記帳や税務執行の調査など事務コストが上昇する、(8)標準税率と軽減税率の適用を区別するためインボイスの導入が必要になる――の8点の問題点を指摘、複数税率の設定には難色を示してきた。しかし、野党の自民、公明両党が「簡易な給付措置」の実現を求めてきたことで、修正合意の可能性がにわかに高まってきた。

ウィンドウを閉じる