2011年分所得税等の確定申告では、所得税の申告書提出件数が2185万3千件で3年連続の減少となり、過去最高だった2008年分からは7.8%下回っているが、うち、還付申告者数は1279万2千人で6年ぶりに減少した前年から増加に転じた。こうした2千万人を超える納税者数への対応として国税庁は、確定申告の基本方針として「自書申告」を推進しており、そのためのICT(情報通信技術)を活用した施策に積極的に取り組んでいる。
国税庁のホームページ上で申告書が作成できる「確定申告書等作成コーナー」やe-Taxなど、ICTを利用した所得税の確定申告書の提出人員は全体で1069万人にのぼり、2010年分より2.8%増加した。所得税の確定申告書の提出人員(2185万人)に占める割合は48.9%にまで上昇している。2007年分からは税務署に訪れる納税者にも利用できるように、相談会場にパソコンを設置したことなどが、ICT利用を促進させた。
署でのICT利用は、署のパソコンで申告書を作成して「e-Tax」が446万2千人、同「書面での提出」が38万人の計484万2千人と前年度に比べ2.3%減となったが、自宅などでのIT利用は、「HP作成コーナーで申告書を作成して書面での提出」が244万1千人、「同e-Tax」が61万9千人、「民間の会計ソフトで申告書を作成してe-Tax」が278万9千人の計584万8千人で同7.5%増となり、ともに順調に増加している。
一方、全国拡大後8回目の確定申告となるe-Tax(国税電子申告・納税システム)は、(1)最高4000円の税額控除、(2)添付書類の提出省略、(3)書面提出に比べ還付金を早期還付、などのメリットを積極的に広報するなどの普及拡大に努めた結果、所得税の申告件数が、前年の774万7千件から787万件へと1.6%の増加となった。これは、所得税の確定申告書の提出人員の3人に1人がe-Taxを利用したことになる。
このように、ICTを活用した施策を推進する一方で、今年で8回目となる閉庁日における申告相談を2月19日と2月26日の日曜日に、228税務署を対象に、税務署のほか合同会場や広域センターにおいて実施。これらの会場における両日の相談件数は前年比5.2%減の17万4千件、申告書収受件数も同5.6%減の26万1千件と、ともにやや減少したものの、閉庁日対応の効果が十分にうかがえる結果となった。