2012年06月06日-2
2011年度改正案の復活を目指す相続税改革

 相続税は、基礎控除がバブル期の地価急騰に伴い引き上げられてきた後、地価が下落しても据え置かれているため、課税ベースが縮小している。また、最高税率の引下げを含む税率構造の緩和も行われてきた結果、再配分機能も低下している。こうした状況を踏まえ、2011年度税制改正法案において、基礎控除の引下げ、最高税率の引上げを含む税率構造の見直しや贈与税の税率構造の緩和、相続時精算課税制度の拡充を図る考えがあった。

 しかし、2011年度税制改正案には盛り込まれず、同改正事項は、課税ベースや税率構造の見直しなど、全体として資産課税の抜本改革を行うものであることから、今般の税一体改革の中で、その実現を図ることとされた。2012年度税制改正において実現した住宅取得等に係る贈与税の非課税措置の拡充・延長に加え、これらの改革を行うことで、消費性向の高い若年世代への資産移転を促進し、需要を喚起する。

 税一体改革関連法案によると、遺産に係る基礎控除について、定額控除を3000万円(現行5000万円)に、法定相続人比例控除を600万円×法定相続人の数(現行1000万円×法定相続人の数)とし、2015年1月1日以後の相続または遺贈により取得する財産に係る相続税について適用し、同日前に相続または遺贈により取得した財産に係る相続税については、なお従前の例によることとされている。

 また、相続税の税率構造は、(各取得分の金額)1000万円以下の金額10%、3000万円以下の金額15%、5000万円以下の金額20%、1億円以下の金額30%、2億円以下の金額40%、3億円以下の金額45%、6億円以下の金額50%、6億円超の金額55%の8段階とする。現行の適用税率40%の取得分の金額を3億円以下から2億円以下とし、3億円超の金額を「3億円以下」、「6億円以下」、「6億円超(税率55%)」に分割する。

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