2012年06月04日-2
2011年分確定申告、所得税納税額が4年ぶりの増加

 国税庁が5月31日に発表した2011年分所得税等の確定申告状況によると、所得税の確定申告書を提出した人は、前年を5.6%下回る2185万3千人となり、3年連続の減少となった。これは、景気の低迷により申告納税額がある人(納税人員)が同13.5%減の607万1千人と6年連続で減少したことなどが要因とみられている。納税人員の減少に伴い、その所得金額は同2.9%下回る33兆6790億円と、5年連続で減少した。

 しかし申告納税額は、前年を2.9%上回る2兆3093億円となり、4年ぶりの増加となった。これは、2010年度税制改正で、15歳以下の親族を扶養する納税者を対象とした年少扶養控除の廃止などの影響とみられている。申告納税額は、ピークの1990年分(6兆6023億円)の約3分の1に当たる。なお、還付申告者数は、6年ぶりに減少した前年から0.9%と微増の1279万2千人となったが、申告者全体の約59%を占めている。

 所得税申告者のうち、株式等譲渡所得の申告者は前年に比べ3.8%減の99万人9千人、うち所得金額がある人は同20.2%減の21万人と減少したが、所得金額は同8.4%増の1兆1108億円と増加した。これらの株式等譲渡所得の申告者を除く土地等の譲渡申告者は同1.5%減の40万3千人となったが、うち所得金額がある人は同7.1%増の24万人、所得金額は同12.3%増の2兆7902億円と、いずれも前年を上回っている。

 一方、贈与税の申告状況をみると、暦年課税を適用した申告者は前年に比べ9.7%増の37万9千人、うち納税額がある人は同12.9%増の27万1千人、その納税額は同10.8%増の1228億円と伸びた。1人当たりの納税額は同1.9%減の45万円。相続時精算課税制度に係る申告者は同1.9%減の4万9千人、うち納税額があった人は同4.0%減の3千人、申告納税額は同3.1%減の191億円。1人当たりの納税額は同1.0%増の600万円だった。

 また、2009年分から導入された住宅取得等資金の非課税を適用した申告者は前年に比べ3.0%増の7万3千人と増えたが、住宅取得等資金の金額は同13.9%減の6683億円、うち非課税の適用を受けた金額は同17.5%減の5937億円と、いずれも減少した。これは、直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税枠が、2010年中は1500万円から2011年中は1000万円へと減少したことが要因とみられる。

 なお、東日本大震災により家屋損壊などの被害を受けた人を対象に税負担を軽減する雑損控除の適用を受けた人は前年を39.2%上回る19万9千人で、前年分を合わせた累計は34万2千人にのぼる。また、寄附金控除(所得控除)1219億円と政党等寄附金等特別控除(税額控除)250億円の合計は1364億円(重複適用のため一致しない)で、うち震災関連寄附金がほぼ6割を占める819億円だった。

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