2012年06月04日-1
注目される「給付付き税額控除」の経緯

 税制調査会専門家委員会(委員長:神野直彦東京大学教授)が5月28日に開かれ、給付付き税額控除等に関する経緯、同控除の諸外国の制度について検討を開始した。いわゆる「給付付き税額控除」については、2007年11月の政府税調の「抜本的な税制改革に向けた基本的考え方」で、「諸外国の実施状況等を参考にしながら、その制度化の可能性や課題について議論がすすめられていく必要がある」として初めて登場した。

 その後、2008年12月の「税制改正大綱」(自民党・公明党)、2009年12月の「2009年度税制改正法附則第104条」(民主党)で、「個人所得課税については、給付付き税額控除の検討を含む歳出面も合わせた総合的な取組みの中で子育て等に配慮して中低所得者世帯の負担の軽減を検討する」とし、2010年12月の2011年度「税制改正大綱」で、「所得課税については、所得控除から税額控除・給付付き税額控除・手当へ」と検討項目となった。

 2011年6月30日の政府・与党社会保障改革検討本部決定による「社会保障・税一体改革成案」では、個人所得課税について、「雇用形態や就業構造の変化も踏まえながら、格差の是正や所得再分配機能等の回復のため、各種の所得控除の見直しや税率構造の改革を行う。給付付き税額控除については、所得把握のための番号制度等を前提に、関連する社会保障制度の見直しと併せて検討を進める」とした。

 さらに、2012年3月30日閣議決定された消費税法等の一部改正案では、消費税率の引上げを踏まえて、「総合合算制度(医療、介護、保育等に関する自己負担の合計額に一定の上限を設ける仕組み)、給付付き税額控除(給付と税額控除を適切に組み合わせて行う仕組み)等の、低所得者に配慮した再分配に関する総合的な施策を導入する」とし、その実現までに、臨時的な措置として、簡素な給付措置を実施するとした。

 「簡素な給付措置」は、2012年4月17日の五大臣会合決定で、「対応の方向性」における「所得の少ない家計ほど、食料品向けを含めた消費支出の割合が高いために、消費税負担率も高くなるという、消費税(地方消費税を含む)の所得に対する逆進性」との指摘を踏まえ、検討を行う。今後、「大綱」に示された論点について、与党とも十分連携しつつ、与野党の協議も踏まえて具体案を決定し、(中略)2014年度から実施する」としている。

 関係資料は↓
 http://www.cao.go.jp/zei-cho/gijiroku/senmon/2012/__icsFiles/afieldfile/2012/05/28/sen13kai2.pdf

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