2012年05月28日-4
一体改革、低所得者対策は給付付き税額控除が適切

 衆院社会保障と税の一体改革に関する特別委員会で23日、一体改革のあり方についての集中審議が行われ、民主党から質疑に立った馬淵澄夫議員は、消費税の引上げはどのような経済状況のもとに行うかが極めて重要とする立場から、(1)新成長戦略のマクロ経済目標の達成、(2)低所得者対策の必要性、(3)歳入庁創設の意義、などについて野田佳彦総理、岡田克也副総理(社会保障・税一体改革担当)の見解を質した。

 馬淵議員は、「日本経済がデフレから脱却し景気が順調に推移すること」、「十分な低所得者対策」が、消費税引上げによっても税収増が十分図られ、経済に与える影響が少なくなる前提だと提起。そのための工夫のひとつが、今回の消費税引上げにあたり名目3%、実質2%の経済成長率を目指すとする新成長戦略の忠実な履行であり、「デフレからの脱却と経済が順調に推移することが必要。景気回復こそが消費税増税の大前提」だと説いた。

 野田総理は、今回の一体改革は「経済再生、行政改革を含めた包括的な改革」だとし、経済成長、デフレからの脱却について、2010年6月にまとめた新成長戦略の加速とともに、震災による環境の変化についての検証を年央にとりまとめる日本再生戦略に活かし、成長を促していく考えを明示。あわせて日銀と連携を緊密にとりながら、日銀には果断な政策を期待しながらしっかり連携して対応していくと述べた。

 馬淵議員は、政府と日銀が連携してデフレ脱却を果たすためには、新たな枠組みのための日銀法の改正が必要とする自説を展開。また、同議員は低所得者対策の必要性を改めて強調。ヨーロッパ諸国の例からも軽減税率は低所得者対策として効果がないことは明らかだとして、改めて給付付き税額措置が適切だとの認識を示した。その上で、給付付き税額控除の導入にはマイナンバー制度の導入と歳入庁の設置が不可欠だと指摘した。

 歳入庁については、「歳入庁」構想の中間報告のなかに国税庁と日本年金機構を統合しない見送り案なるものがあったため「歳入庁先送り」とのマスコミ報道につながったことにも言及し、「軽減税率の導入は歳入庁導入を阻止したいという霞ヶ関の思惑がないとも言えない」と牽制し、社会保障と税の一体改革の実現に向けては歳入庁の設置は先送りしてはいけないと強く訴えている。

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