2012年05月24日-3
貸倒引当金は経過措置3年後に廃止

 昨年12月に公布・施行された2011年度税制改正において、法人税率引下げの財源措置の一つとして、貸倒引当金制度は、適用対象法人が中小企業など一部の法人に限定され、原則廃止として、2012年4月以後に開始する事業年度から適用されている。貸倒引当金の改正後も繰入れが認められる法人以外には、激変緩和措置として経過措置が設けられており、繰入限度額が順次圧縮されて3年経過後(2015年3月)に廃止される。

 改正後は、適用法人が中小企業等と金融保険業等を営む法人及びリース業等を営む一定の法人等に限定されるが、このうち中小企業等とは、(1)資本金等の額が1億円以下の普通法人、(2)公益法人等または協同組合等、(3)人格のない社団法人等、とされる。ただし、資本金等5億円以上の大法人や相互会社との間に完全支配関係のある普通法人は、資本金等が1億円以下であっても、中小企業等から除外される。

 また、金融保険業等とは、(1)銀行、(2)保険会社、リース会社等とは、売買があったものとされるリース資産の対価に係る金銭債権を保有する法人や貸金業者など「金融の取引に係る金銭債権(ファイナンス・リース取引のリース債権等)を有する一定の法人」、とされている。これらの法人以外にも改正後の貸倒引当金の繰入れが認められるのは、金融商品取引業者に該当する法人、債権回収会社など、(3)(1)または(2)に準ずる法人だ。

 なお、リース会社等については、貸倒引当金の対象となる債権の範囲が縮小され、例えば、リース会社ではリース債権、貸金業者では金銭債権や買取債権度などに限定して適用が可能となる。また、経過措置については、繰入限度額が、2012年4月~13年3月までの間に開始される各事業年度は従来計算の3/4、13年4月~14年3月が同2/4、14年4月~15年3月が同1/4となり、3年間にわたって段階的に廃止されることになる。

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