2012年05月23日-1
都内ナンバー車の不正軽油検出率0.1%で最低水準

 東京都では、悪質な脱税行為であるとともに大気汚染の元凶ともなっている不正軽油を撲滅するため、2000年より様々な取組みを行っているが、このほど、2011年度の「不正軽油撲滅作戦」の実績と成果をまとめ公表した。それによると、路上や高速道路のパーキングエリア、工事現場などでディーゼル車、重機から計6117本の軽油抜取調査を行い、20本の不正軽油を検出したことを明らかにした。

 検査車両のうち都内ナンバー車は0.1%、他県ナンバー車は0.6%の不正軽油混和検出率で、他県ナンバーの車両を含めた車両全体では0.3%、車両・重機全体でも0.3%だった。都内ナンバー車は3年連続でこれまでで最低の水準にとどまっており、都主税局はこれを「撲滅作戦の成果」だとしている。ちなみに、車両の混和検出率の推移をみると、06・07年度は0.8%、08年度0.3%、09年度0.4%、10・11年度0.3%となっている。

 ディーゼルエンジン車が燃料としている軽油には、軽油引取税が1リットル当たり32.1円課税されているが、この負担を逃れたり、あるいは販売して利ざやを稼ごうと、代替燃料となるA重油や灯油などを混和させる脱税行為があとを絶たない。大掛かりな不正軽油密造工場が摘発されたり、摘発を逃れのために県境をまたいで不正軽油を流通させる手口の悪質化が問題となっている。

 不正軽油はたんなる脱税にとどまらず、使用すると大気汚染の悪化を招いたり、製造過程では硫酸ピッチという強酸性の有害物質を生成することから、しばしば不法投棄による環境問題を引き起こしている。こうしたことから、東京都は2000年から「不正軽油撲滅作戦」を展開して路上抜取検査などを強化している。また、「不正軽油110番」を設置して民間からの情報提供を募る取組みも続けている。

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