2012年05月16日-2
食料品等への軽減税率導入には否定的~野田総理

 社会保障と税の一体改革関連法案の審議は8日に始まったが、審議3日目となる11日の衆院本会議において、「せめて食品だけでも税率を軽減すべき」との根強い声があることについて野田総理は、「消費財とサービスの間で不公平感が生じる可能性があることなどから、今回は単一税率を維持することとした」として否定的な考えを示した。軽減税率の早期導入については、民主、自民両党ともに慎重意見が多い。

 審議では、消費税法等の一部改正法案について、安住財務相が、「社会保障の安定財源の確保及び財政の健全化を同時に目指す観点から、消費税の使途を明確化して税率の引上げを行うとともに、所得・消費・資産にわたる税体系全体の再分配機能を回復しつつ、世代間の早期の資産移転を促進する観点から所得税の最高税率の引上げ、相続税の基礎控除の引下げ、相続時精算課税制度の拡充を行うものだ」と説明した。

 具体的には、(1)消費税を社会保障4経費(年金・医療・介護・子育て)に充てることを明確化した上で現行の4%(国税分、以下同じ)を2014年4月に6.3%に、15年10月から7.8%に引き上げるほか、事業者免税点制度の見直しを行うこと、(2)所得税の最高税率の引上げ、(3)相続税の基礎控除の引下げと最高税率の見直し、贈与税の税率構造の緩和、相続時精算課税制度の拡充、などを盛り込んでいるとした。

 軽減税率について野田総理は、「標準税率を課す品目との合理的な線引きが困難であり、消費財とサービスの間で不公平感が生じる得ること、適用税率ごとの区分経理やインボイス制度の導入により事業者負担が増加することなどを踏まえ単一税率を維持する」と説明。低所得者層に対する措置として、将来的には番号制度の定着後に給付付き税額控除等を実施、それまでの間は暫定的な措置として簡素な給付措置を実施すべく検討するとした。

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