2012年05月14日-3
林業に係る相続税猶予制度の創設

 林業経営相続人が、相続・遺贈により、特定森林経営計画が定められている区域内に存する山林(立木または土地をいう)を、その特定認定計画に従って施業を行ってきた被相続人から一括して取得した場合、林業経営相続人が引き続き施業を継続していくときは、一定の要件を満たすもの(特例山林)に係る課税価格の80%に対応する相続税額は、林業経営相続人の死亡の日まで納税が猶予される制度が、2012年度改正で創設された。

 「林業経営相続人」とは、被相続人の推定相続人で、認定計画が定められている区域内の山林を一括して取得することにつき、農林水産大臣の確認を受けた後継者をいう。「認定計画に従って施業を行ってきた被相続人」とは、自ら所有し、かつ、施業を行う100ヘクタール以上の山林について、認定計画の始期(当初認定日)から継続して、施業拡大・作業路網整備の計画量を達成しながら、認定計画に従って施業してきた被相続人をいう。

 「特例山林」とは、(1)特定森林経営計画で、作業路網の整備を行う山林として記載されている、(2)市街化区域内に所在しない、(3)立木にあっては、相続開始の日からその立木が市町村森林整備計画に定める標準伐採齢に達するまでの期間(標準的な伐期)が、林業経営相続人のその相続開始の時における平均余命期間(最長30年間)を超える場合におけるその立木であること、の全ての要件を満たすものをいう。

 猶予税額は、相続税の納税猶予の適用がないものとして、通常の相続税額の計算を行い、林業経営相続人の相続税額を算出する。林業経営相続人以外の相続人の取得財産は不変とした上で、林業経営相続人が通常の課税価格による特例山林のみを相続したものとして計算した場合、その林業経営相続人の相続税額と、課税価格を20%に減額した特例山林のみを相続するものとして計算した場合の相続税額の差額を、猶予税額とする。

 なお、当初に、相続税の納税猶予の適用がないものとして、通常の相続税額の計算を行って算出した相続税額から、猶予税額を控除した額が、その林業経営相続人の納付税額となる。算式は、「納税猶予税額=林業経営相続人が特例山林のみを相続するとした場合の相続税額-林業経営相続人が特例山林の20%のみを相続するとした場合の相続税額」。林業経営相続人等以外の相続人の取得財産は不変として計算する。

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