2012年05月07日-1
死亡保険金に法定相続人の制限を導入~税一体改革

 社会保障・税一体改革の消費増税関連法案では、相続税制の抜本改革を図ることとしているが、基礎控除の引下げ、税率構造の見直しに加え、死亡保険金の非課税措置の見直しが行われる。相続税の死亡保険金に係る非課税限度額については、「500万円×法定相続人の数」に変更はないが、改正案では、「未成年者、障害者または相続開始直前に被相続人と生計を一にしていた者に限る」と、法定相続人の制限が加えられる。

 この改正案は、2015年1月1日以後の相続または遺贈により取得する財産に係る相続税に適用し、同日前に相続または遺贈により取得した財産に係る相続税については、なお従前の例による。ところで、死亡保険金に係る非課税限度額の適用対象となる「相続人」とは、被相続人の民法(第5編第2章「相続人」)の規定による相続人をいう。この場合における「相続人」には、相続を放棄した者または相続権を失った者は含まれない。

 死亡保険金に係る非課限度額の対象とならない相続人のうち「相続を放棄した者」とは、相続の開始があったことを知った時から3月以内の期間内に相続の放棄の方式の規定により家庭裁判所に申述して相続の放棄をした者(相続の承認・放棄の撤回・取消し(民法919)の規定により放棄の取消しをした者を除く)だけをいうのであって、正式に放棄の手続きをとらないで事実上相続により財産を取得しなかった者は含まれない。

 注意が必要なのは、「法定相続人の数」は、被相続人の民法(第5編第2章「相続人」)の規定による相続人の数をいい、相続の放棄があった場合に、その放棄がなかったものとした場合における相続人の数をいう。また、被相続人に養子がいる場合の法定相続人に含まれる養子の数は、被相続人に「実子がある場合」及び「実子がなく、養子の数が1人」の場合は1人、「実子がなく、養子の数が2人以上」の場合は2人に制限される。

 なお、養子の数を法定相続人の数に算入することが、相続税の負担を不当に減少させる結果となると認められる場合においては、税務署長は、相続税についての更正または決定に際し、税務署長の認めるところにより、その養子の数を法定相続人の数に算入しないで相続税の課税価格及び相続税額を計算することができることとされている。

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