2012年05月02日-4
相続税課税割合は4.2%、被相続人数は過去最高

 国税庁が発表した2010年分相続税の申告事績によると、2010年1年間に亡くなった人(被相続人)は過去最高となる約120万人、このうち相続税の課税対象被相続人数は約5万人で、課税割合は4.2%だった。今回の対象は、2011年10月31日までに提出された申告書及び昨年3月11日の東日本大震災に伴う震災特例法により申告期限が今年1月11日まで延長が認められた被災者が提出した申告書を合わせて集計している。

 相続税の課税割合は、過去最低水準だった前年よりわずかに0.1ポイント増えたものの、相続で税金がかかるのは100人に4人という状況が相変わらず続いている。また、相続財産価額から被相続人の債務や葬儀費用などを差し引き、相続開始前3年以内の生前贈与等を加算した相続税の課税価格は、10兆4470億円と前年比で3.4%増加したが、税額は1兆1754億円と逆に1.2%減少した。

 被相続人1人当たりでみると、地価下落及び株価の低迷により課税価格が2億1006万円(前年比3.5%減)、税額2363万円(同5.5%減)となり、4年連続の減少となった。また、相続財産額の構成比は、「土地」が48.4%と半数を占め、「現金・預貯金等」が23.2%、「有価証券」が12.1%の順。前年と比べると「土地」のみ減少(1.3ポイント減)する一方、「現金・現金・預貯金等」は平成に入ってから最高の構成比となった。

 相続財産に占める割合が高い土地の評価はいまだ低迷しており、相続財産の課税価格が基礎控除額(「5000万円+1000万円×法定相続人の数」)内でおさまるケースが多いことになる。ちなみに、路線価の基礎となる標準宅地の平均額の推移は、1平方メートル当たり25万6千円だった1994年を100とすると、2010年は12万6千円と49に低迷。もっとも、1994年でも課税割合は5.2%だから、もともと相続税の課税割合は低いともいえる。

 2010年分相続税の申告状況は↓
 http://www.nta.go.jp/kohyo/press/press/2011/sozoku_shinkoku/index.htm

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