2012年04月23日-2
公立病院勤務の医師に貸与した研究資金等は雑所得

 医師の資質の向上を目指し、町が「貸与条例等」に基づき町内の公立病院に勤務する医師に、その申請により研究資金等を貸与(無利息)し、また、一定の要件の下で研究資金等の返還が免除される場合に、債務免除益や無利息貸付けによる経済的利益の所得の帰属について、いずれも「雑所得」に該当するとの解釈でよいかとの文書照会に対し、札幌国税局は「雑所得」との見解で差し支えない旨、回答した。

 同町の研究資金の貸与は、公立病院に勤務する医師で、1年以上継続して勤務する医師を対象に行われる。新たに同病院に着任した医師には、就業支度金(100万円以内)が貸与される。研究資金の貸与は、医師免許取得経過年数に応じ、5年目以下・研究期間1年間100万円から36年目以上・同3年間800万円まで18段階に分かれる。研究資金は、貸与期間を継続して病院に勤務したとき、貸与期間に死亡したときは免除される。

 貸与期間に被貸与者が災害、疾病その他やむを得ない理由により公務を継続することができなくなったと認められる場合は、町長は、返還債務の一部を免除できる。なお、同町と同病院の設置者との間で、研究資金貸与制度についての資金的な補助・助成等はなく、貸与は町の独自財源で実施している。また、同病院は同町が設置した病院ではなく、同町と同病院に勤務する研究資金の被貸与者である医師との間に雇用関係は存在しない。

 所得の帰属については、この債務免除益は給与所得、一時所得、雑所得のいずれかに該当すると考えられるが、同町と被貸与者との間に雇用関係はなく給与所得には当たらず、また、研究資金の貸与は、公立病院における一定期間の継続勤務を条件に受けるものであり、実費弁済的な性格があることからすれば、対価性のない一時の所得である一時所得には該当しないことから、雑所得に当たる、との見解を札幌局も認めている。

 事前照会と文書回答は↓
 http://www.nta.go.jp/sapporo/shiraberu/bunshokaito/shotoku/02_04_a.htm#a01

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