2012年04月19日-1
時価5千万円超の国外財産に調書提出制度義務付け

 国外財産に係る所得・相続財産の申告漏れが近年増加傾向にあることなどを踏まえ、2012年度税制改正において、その年の12月31日における国外財産の価額の合計額が5千万円を超える国外財産所有者に対して、その国外財産の種類、数量、価額その他必要な事項を記載した調書を翌年3月15日までに税務署に提出することを義務付ける国外財産調書制度が創設された。2014年1月1日以後に提出すべき国外財産調書に適用される。

 財産の評価については、原則として「時価」とする。ただし、「見積価額」とすることもできる。国外財産調書の提出先は、その年分の所得税の納税義務がある場合はその者の所得税の納税地の所轄税務署長、それ以外の者では、国内に住所がある場合はその者の住所地の所轄税務署長、国内に住所がない場合はその者の居住地の所轄事務所長。また、同制度の調書の様式や記載事項が関係省令により、明らかになっている。

 明らかにされた様式では、財産区分、種類、用途、所在、数量、価額欄とこれらの合計額欄が設けられ、財産区分欄には、(1)土地、(2)建物、(3)山林、(4)現金、(5)預貯金、(6)有価証券、(7)貸付金、(8)未収入金(受取手形を含む)、(9)書画骨董及び美術工芸品、(10)貴金属類、(11)現金、書画骨董及び美術工芸品、貴金属類以外の動産、(12)その他の財産別を記入。用途欄には、一般用(事業または業務以外の用)か事業用かの別を記入する。

 財産別の記載事項は、例えば、土地であれば、用途別・所在別の地所数や面積・価額(庭園その他土地に附設したものを含む)、建物では、用途別・所在別の戸数や床面積・価額(附属設備を含む)、現金、貸付金では、用途別・所在別の価額、書画骨董及び美術工芸品では、種類別(書画、骨董及び美術工芸品の別)、用途別・所在別の数量及び価額(1点10万円未満のものを除く)などとなっている。

 ところで、「財産債務の明細書」への記載については、「国外財産調書」提出の適用がある場合における国外財産に係る「財産債務明細書の提出」に規定する財産債務明細書に記載すべき事項については、財産債務明細書に国外財産の記載は要しないものとされている。この場合、運用上、財産債務明細書の備考に「国外財産調書に記載のとおり」と記載することとする。

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