2012年04月16日-2
取引のなかった特定口座の取引報告書交付不要に

 証券業者がその個人投資家に代わって口座内における1年分の上場株式等に係る収入金額、取得価額、所得金額等の確定申告に必要なデータが記載された年間取引報告書を作成し、翌年の1月31日までに個人投資家に郵送してくれる制度が「特定口座制度」。特定口座を利用する際、その年の最初の譲渡の時までに源泉徴収選択届出書を提出しておけば、特定口座内での取引で発生した利益に源泉徴収が行われ、確定申告が不要となる。

 2012年度改正において、特定口座内保管上場株式等で、その年中にその特定口座に係る特定口座内保管上場株式等の譲渡及びその特定口座で処理した信用取引等に係る上場株式等の譲渡並びにその特定口座への上場株式等の配当等の受入れが行われなかったものがある場合には、金融商品取引業者等は、特定口座年間取引報告書の交付は要しないこととされた。ただし、交付の請求があった場合は、公布しなければならない。

 特定口座の特徴と留意点は、(1)個人投資家は、1人につき証券会社ごとに1口座しか開設できない、(2)毎年その年の最初の譲渡の時までに「源泉徴収あり(特定口座源泉徴収選択届出書を提出)」か「源泉徴収なし」かの選択を行い、一度選択した方法はその年の中途で変更不可、(3)一つの特定口座内の上場株式等の取得価額は、他の特定口座や一般口座にたとえ同一銘柄の上場株式があっても別銘柄のものとして譲渡所得の計算を行う。

 (4)源泉徴収ありの特定口座内での譲渡所得は、確定申告不要を選択した場合には、所得税の配偶者控除等の判定の際の合計所得金額に含めなくてよい、(5)確定申告しなければ、税制における各種優遇措置の適用は受けられない、(6)特定口座に受入れできるものは、原則として特定口座を通じて取得した上場株式等や証券会社の特定口座から移管されたもの、(7)一度特定口座から一般口座へ振り替えたものは、再度特定口座へは戻せない。

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