2012年04月09日-4
役員給与の「業績悪化改定事由」に新たな取扱い

 国税庁はこのほど、「役員給与に関するQ&A」に業績悪化改定事由の取扱いを新たに追加した。それは「業績の著しい悪化が不可避と認められる場合の役員給与の減額」(Q1-2)についてだ。年度中途で役員給与を減額した場合に定期同額給与として損金算入が認められるためには、その改定が「経営の状況が著しく悪化したことその他これに類する理由」(業績悪化改定事由)によることが必要とされている。

 この業績悪化改定事由は、経営状況が著しく悪化したことなどやむを得ず役員給与を減額せざるを得ない事情があることをいい、通常は売上や経常利益などの会社経営上の数値的指標が既に悪化している場合が多いものと思われる。しかし、質問では、現状ではまだ売上が減少しておらず、数値的指標が悪化しているとまでは言えない場合でも「業績悪化改定事由による改定」に該当するのかとの疑問が生じていたものだ。

 これに対しQ&Aでは、役員給与の減額などの経営改善策を講じなければ客観的な状況から今後著しく悪化することが不可避と認められるため、「業績悪化改定事由による改定」に該当する、と回答している。現状では数値的指標が悪化しているとまでは言えないものの、役員給与の減額などの経営改善策を講じなければ、客観的な状況から今後著しく悪化することが不可避と認められる場合には、業績悪化改定事由に該当するとの考えだ。

 また、今後著しく悪化することが不可避と認められる場合であって、これらの経営改善策を講じたことにより、結果として著しく悪化することを予防的に回避できたときも、業績悪化改定事由に該当するものと考えられる、としている。ただし、客観的な状況がない単なる将来の見込みにより役員給与を減額した場合は、業績悪化改定事由による減額改定に当たらないことになる。

 さらに、上記の質問のような場合には、役員給与を減額するに当たり、会社経営上の数値的指標の著しい悪化が不可避と判断される客観的な状況としてどのような事情があったのか、経営改善策を講じなかった場合のこれらの指標を改善するために具体的にどのような計画を策定したのか、といったことを説明できるようにしておく必要があることに留意するよう注意を促している。

 同Q&Aは↓
 http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/joho-zeikaishaku/hojin/qa.pdf

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