2012年03月26日-2
2010年度企業の寄附金支出は過去最高の6900億円

 国税庁が3月21日に公表した「2010年度分税務統計から見た法人企業の実態調査」結果によると、2010年度分の法人数は258万6882社で、前年度より1.2%減少した。このうち、連結親法人は890社で同8.5%増、連結子法人は6528社で同2.7%増。連結子法人を除いた258万354社のうち、赤字法人は187万7801社で、赤字法人割合は72.8%となり、1951年分の調査開始以来過去最高の割合となった前年度と同率となった。

 2010年度分の営業収入金額は、前年度に比べ2.2%増の1353兆1278億円、黒字法人の営業収入金額も同1.8%増の754兆8459億円でともに3年ぶりの増加、所得金額も同7.0%増の32兆4351億円で4年ぶりに前年を上回った。営業収入に対する所得金額の割合(所得率)は、前年から0.2ポイント上昇の4.3%となっており、赤字法人割合は過去最高だったものの、順調に景気回復を図っている企業との二極化がうかがえる。

 黒字法人の益金処分総額は前年比8.3%増の38兆2013億円。内訳は、支払配当が同15.5%増の8兆55億円(構成比21.0%)、法人税額が同7.9%増の8兆4105億円(同22.0%)、その他の社外流出が同▲7.2%の4兆6289億円(同12.1%)で、これらを引いた社内留保が同10.2%増の17兆1563億円と44.9%を占めた。なお、役員賞与は、会社法創設に伴い、2006年5月1日以後終了する事業年度から利益処分項目ではなくなっている。

 一方、2011年3月までの1年間に全国の企業が取引先の接待などに使った交際費は、前年度に比べ▲2.1%の2兆9360億円と、4年連続で減少し、過去最高だった1992年分の6兆2078億円に比べほぼ半減した。このうち、税法上損金に算入されなかった金額(損金不算入額)は同▲1.1%の1兆1703億円と4年連続で減少し、損金不算入割合は同0.4ポイント上昇したが、39.9%と2年連続の40%割れとなった。

 営業収入10万円あたりの交際費等支出額は、全体では前年度より9円少ない217円で、資本金1千万円未満が682円と高い一方、資本金が多くなるにつれ減少し、資本金10億円以上は106円と低い。また、業種別にみると、「建設業」が533円、「不動産業」が498円、「サービス業」が367円と高く、一方、「機械工業」が137円、「鉱業」が142円、「卸売業」が145円と低くなっている。

 また、企業が支出した寄附金の額は6957億円で、前年度比27.3%の大幅増となり調査開始以降で最高額を記録している。これは、昨年3月に発生した東日本大震災に伴う国や地方自治体、日本赤十字社などへの「指定寄附金」が2459億円と同42.5%も大幅に増加したことが影響しているが、この調査には大震災発生月の20日弱までしか含まれておらず、来年発表の2011年度分ではさらに大幅な増加が予想される。

 同実態調査結果の詳細は↓
 http://www.nta.go.jp/kohyo/tokei/kokuzeicho/kaishahyohon2010/pdf/h22.pdf

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