2012年03月26日-1
将来的には二重構造の青色申告廃止を答申~税制審

 池田隼啓日本税理士会連合会会長の諮問機関である税制審議会(座長:金子宏東大名誉教授)はこのほど、2011年度の諮問事項である「青色申告制度について」を総会6回、専門委員会7回開催しての検討を経て答申をまとめ、提出した。答申では、「青色申告と白色申告の二重構造は税制のあり方としては適切ではない」とする思い切った結論を述べるとともに、申告方法の一元化が適当とした。

 青色申告制度は、世界にも例のないもので、適正な所得課税を担保する制度として申告納税制度の発展に寄与してきたが、所得金額を課税標準とする所得税や法人税の申告に当たっては、いうまでもなく納税者自らが正確に所得金額を算定する必要がある。また、そのためには、的確な帳簿を作成する必要があることも当然であり、適正な申告と的確な帳簿の作成を機能的に結びつけてきたのが青色申告制度であると考えられる。

 しかし、適正な所得申告と的確な帳簿の作成は、青色申告制度の有無にかかわらず、全ての事業者が実行しなければならないことで、その意味では、青色申告と白色申告という二重構造は、青色申告制度の果たしてきた役割を考慮しても、税制のあり方としては適切とはいえない。したがって、事業者が個人であるか法人であるかを問わず、また、事業の規模等に関わりなく、申告方法を一元化することが適当とした。

 このような観点からは青色申告制度は廃止すべきだが、小規模事業者の記帳の実態や経理体制の現状からみれば、直ちに廃止する状況にはなく、当分の間は同制度を存置することが適当というのが答申の主旨。今後、さまざまな施策によって全ての事業者の記帳水準が向上し、申告方法が一元化されるとともに、適正な記帳の下に、より多くの事業者にさまざまな税制措置が適用できるようになることを期待したい、と結論付けている。

 同答申(全文)は↓
 http://www.nichizeiren.or.jp/guidance/pdf/toushin_H23.pdf

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