2012年03月21日-2
「スタートアップ支援金」は事業所得または雑所得

 「明日の安心と成長のための緊急経済対策」に基づき内閣府が実施している地域社会雇用創造事業で、同法人が社会起業家支援のために支出する「スタートアップ支援金」は一時所得に、「事業化支援金」は事業所得または雑所得に該当すると解して差し支えないかとの照会に対し、東京国税局は、「事業化支援金」については認めたが、「スタートアップ支援金」はその性質上事業所得または雑所得に該当する旨、回答した。

 同事業では、社会起業家の起業支援を実施しており、その対象者に対して研修プログラムや支援サポートメニューの提供を行うほか、一定の要件の下、一律50万円の「スタートアップ支援金」及び450万円を上限とする「事業化支援金」を現金で給付する。この「スタートアップ支援金」は一時所得に、また、「事業化支援金」は事業所得または雑所得に該当すると解して差し支えないかを照会したもの。

 内閣府では、「スタートアップ支援金」は、起業準備のために給付されるもので、営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の一時の所得に該当するため、所得税法第34条の一時所得に該当すると考えた。なお、一時所得には「労務その他の役務・資産の譲渡の対価としての性質を有しないもの」という要件もあるが、同法人と本件対象者の間には雇用契約、請負契約などの役務契約、譲渡契約はないため、この要件も満たすとした。

 一方、「事業化支援金」は、起業対象者の事業化に向けた活動を支援するために、「事業報告書」、「会計帳簿」、「事業化に要した費用の証憑」によりその活動実態を確認した上でその事業化に要した費用を清算払いにより給付するもので、事業所得に、また、対象者が事業を開始するに至らない場合もあるが、その活動に要した費用を助成するものであることからすれば、対価の性質を有し、一時所得ではなく雑所得に該当するとした。

 東京局は、「事業化支援金」は事業所得または雑所得として認めたが、「スピードアップ支援金」は、その給付は、起業準備または事業活動という行為に密接に関連してなされているものと認められ、対価としての性質を有していることから、一時所得には該当しない。また、事実関係からすれば、既に事業を行っている者も給付対象となり得ることから、事業所得または雑所得として取り扱われる、と回答した。

 文書回答(全文)は↓
 http://www.nta.go.jp/tokyo/shiraberu/bunshokaito/shotoku/120227_1/01.htm#a01

ウィンドウを閉じる