2012年03月01日-3
消費税10%でGDP2.5%低下、雇用100万人超減少

 野田民主党政権は、「社会保障と税の一体改革」において消費税を現行の5%から10%に引き上げる方針を決定したが、労働総研はこのほど、消費税5%の引上げによって、GDP(国内総生産)が2.5%低下し、100万人以上の雇用が失われ、税収も、10兆円余の増収の一方で2兆円以上の減収が生じる、との試算を発表した。消費税増税は、日本経済の再生の道を閉ざし、日本経済を“奈落の底”に突き落としかねない、として反対を表明した。

 同試算によると、消費税の5%から10%への増税は、家計消費需要を13兆9180億円(2010年の家計消費支出278兆3510億円の5%)減少させる効果を持つ。それによって国内生産額が21兆2643億円、付加価値額が12兆2046億円減少し、GDPは2.53%の減少となる。その結果、労働量が、就業者ベースで157.5万人分、雇用者ベースでは114.9万人分失われ、それに伴い、国・地方合わせて税収が2兆1660億円減少する、とした。

 産業・部門別にみると、「食料・飲料・たばこ」、「農林漁業」、「個人サービス」、「金融・保険・不動産」の順に影響が大きく、これらでは、国内生産の3.5~4.4%が減少する。概して中小企業や個人営業が多い産業・部門の国内生産減少率が大きい。対して、大企業の多い「機械機器及び金属製品」、「工業用原料(重工業)と「土木建設、「公務」及び「医療、保健」は影響が少ない。大企業への影響は小さく、中小企業が大打撃を受ける、という。

 また、国内生産の減少に比例して労働量が減少するから、当然、減少率では「食料・飲料・たばこ」、「農林漁業」、「個人サービス」、「金融・保険・不動産」の順に大きい。人数では、従業員の多い「商業」と「個人サービス業」が断然大きく、雇用者ベースでみて、この2部門で55.9万人と48.7%を占める。他方、装置産業である「工業用原料(軽工業)」、「同(重工業)」及び「エネルギー」部門の減少はそれぞれ0.7~1.4万人とわずかだ。

 以上のような試算結果を示した上で、労働総研は、「東日本大震災、国際的な金融危機、異常な「超円高」、「産業空洞化」の進行―こうした局面下、今求められているのは、全力を挙げた震災復興並びに労働者・国民の生活向上を通じて、内需主導の経済成長を目指すことだ。それに逆行する消費税の増税は、日本経済の再生の道を閉ざし、日本経済を“奈落の底”に突き落す結果になりかねない」として、消費税増税に強く反対している。

 同試算結果の全文は↓
 http://www.yuiyuidori.net/soken/ape/2012/data/120220_01.pdf

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