2012年03月01日-1
長期所有土地等からの買換え特例は買替資産を制限

 2012年度の国税関係の改正法案である租税特別措置法等一部改正法案は去る1月27日、国会に提出された。大きな改正が少ない2012年度改正のなかで実務家に注目されているのが、所有期間10年超の事業用の土地・建物等を譲渡して、買換資産として事業用の土地・建物や機械・装置を取得した場合に、譲渡益の8割を課税繰延べできる特例制度の見直しだ。買替資産の見直しを行った上、適用期限が3年延長される(所得税も同様)。

 法案では、この特例制度の対象となる買換資産のうち、土地等の範囲を「事務所、事業所その他の政令で定める施設(特定施設)の敷地の用に供されるもの(特定施設に係る事業の遂行上必要な駐車場の用に供されるものを含む)または駐車場の用に供されるもの(建物または構築物の敷地の用に供されていないことについて政令で定めるやむを得ない事情があるものに限る)で、その面積が300平方メートル以上」に限定した。

 駐車場や資材置き場など、事務所等の一定の建築物等の敷地ではない土地を、買替資産から除外するものだが、そのうえで、適用を2014年12月31日まで3年延長する。駐車場でも買換えの対象となる場合の要件などの詳細は、法案成立後に明らかになる政令を待つことになる。この特例は、他の買換え特例に比べ使い勝手がいいと言われていたが、300平方メートル以上という制限がついたことから、特例適用者の減少が予想されている。

 改正法は原則、2012年1月1日以後に譲渡、同日以後に取得する場合の買替資産から適用される。措置法等改正案の附則では、譲渡が2011年12月31日までに行われていれば、買替資産の取得が2012年1月1日以降であっても改正前の旧法(現行法)の対象とするなどの経過措置がある。例えば3月決算法人の場合、2011年12月31日までに譲渡をしていれば、買替資産の取得が今年1月1日から3月31日の場合でも、旧法の対象となる。

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