2012年02月15日-2
不動産所得、共有持分でも事業的規模の判定は全体で

 不動産所得は、「事業的規模」か「事業的規模に至らない規模」かどうかで課税上の取扱いが変わるが、まだまだ誤りやすいポイントが多々ある。例えば、賃貸用不動産を相続により取得し、年の中途で遺産分割が行われた場合、その年分の不動産所得の計算を分割後の相続分で計算していたら? これは、遺産分割が行われるまでの所得は、法定相続分により計算することになるので注意が必要だ。

 次に、アパートが2人以上の共有とされている場合、貸付の規模を共有持分であん分した後で判定しているケースがある。これは、不動産が2以上の者の共有とされている場合であっても、その不動産の全体の貸付の規模で判定する。また、貸室8室と貸地10件がある場合、事業的規模かどうかの判定を貸室のみでしているケース。ここでは、1室の貸付に相当する土地の貸付件数を「おおむね5」として判定する。

 高齢者向け賃貸住宅の割増償却の適用に当たって、(1)6年目も適用している→割増償却が認められる期間は、その貸家の用に供した日以降5年間(正味60ヵ月)である。(2)割増償却額にさらに普通償却額を加算して計算している→割増償却は、普通償却に代えて適用される。(3)店舗、事務所部分についても割増償却をしている→割増償却の適用は、住宅として賃貸する部分に限られる。

 そのほか、事業的規模の貸付を行っていないのに、専従者給与(または控除)及び65万円の青色申告特別控除を適用しているという誤りがある。専従者給与(または控除)及び65万円の青色申告特別控除額は、事業的規模の貸付の場合にしか控除(適用)されない。不動産の貸付を事業的規模で行っていないが、他に事業所得がある場合、65万円の青色申告特別控除額の限度額は、不動産所得の金額から先に控除することとなる。

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