2012年02月13日-1
貸付の規模で変わる不動産所得は要注意!

 2011年分所得税の確定申告が16日、全国一斉にスタートする。「今年こそはミスなきよう」と身構える納税者も多いようだが、肩肘を張らずに自然体で申告書をチェックしたい。まず、不動産所得がある場合の事業的規模かどうかは、(1)貸間、アパート等については、貸与することができる独立した室数がおおむね10以上あること、(2)独立家屋の貸付けでは、おおむね5棟以上、のいわゆる“5棟10室”で判定する。

 課税上の取扱いの差異をみると、資産損失(取壊し、除却、滅失等)では、「事業的規模」の場合、損失の金額(原価ベース)を損失の生じた年分の必要経費に算入する。「事業的規模に至らない規模」では、損失の金額(原価ベース)を損失の生じた年分の不動産所得を限度として必要経費に算入する。ただし、災害等による損害は、選択により雑損控除の対象とすることができる。

 また、貸倒損失をみると、「事業的規模」の賃貸料の貸倒損失は、貸倒れが生じた年分の必要経費に算入する。「事業的規模に至らない規模」では、賃貸料等の回収不能による損失は、その収入が生じた年分にさかのぼって収入金額がなかったものとみなす。収入がなかったものとみなされる金額は、(1)回収不能金額、(2)所法64条適用前の課税標準の合計額、(3)(2)の計算の基礎とされた不動産所得の金額、のうち最も低い金額となる。

 そのほか、「事業的規模」では、青色事業専従者給与のうち相当なものは、その年分の必要経費に算入する。また、事業専従者控除として1人最高50万円(配偶者である専従者は86万円)を必要経費に算入する。一定の要件を充たす場合に最高65万円の青色申告特別控除が受けられる。一方、「事業的規模に至らない規模」では、青色事業専従者給与、事業専従者控除とも適用はないが、青色特別控除のみ最高10万円の控除が受けられる。

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