2012年02月09日-3
9年分の繰越欠損には9年分の帳簿書類の保存が必要

 欠損金の繰越控除制度の見直しは、2011年度税制改正の積み残し分として昨年11月に実現した。具体的には、青色申告書を提出した事業年度の欠損金、青色申告書を提出しなかった事業年度の災害による損失金の繰越控除制度における控除限度額について、その繰越控除をする事業年度のその繰越控除前の所得の80%相当額とされた。少々使い勝手が悪くなったといえよう。ただし、これは大企業の話。

 資本金1億円以下、公益法人、協同組合等、人格のない社団等のいわゆる中小法人等については、従前どおり、その事業年度の所得の金額に相当する欠損金額の控除ができる(法法57-11)。この改正は、2012年4月1日以後に開始する事業年度の所得に対する法人税から適用される。ところで、同制度のもう一つの見直しは、損失金の繰越期間を9年(改正前7年)に延長することだ。

 青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越期間、青色申告書を提出しなかった事業年度の災害による損失金額の繰越期間を9年(改正前7年)に延長する(法法57-1、58-1)。そして、この改正は、2008年4月1日以後に終了した事業年度において生じた欠損金額について適用することとされている(改正法附則14)。つまり、3月決算法人の場合、2009年3月期の欠損金から9年間の繰越しが可能となる。

 しかし、ここで要注意なのが、次の一文。「なお、欠損金の繰越控除は、その欠損金が生じた事業年度の帳簿書類を保存している場合に限り、適用する」(法法57-1)となっている。通常、公租時効期間は7年で、帳簿の保存期間も7年とされるが、「欠損金の繰越控除制度」に限っては繰越期間が9年とされた関係で、帳簿の保存期間も9年に延長されたわけだ。今回の見直しには十分注意したい!

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