2012年01月26日-2
PB20年度黒字化にはさらに消費増税必要~内閣府

 政府が正式決定した社会保障・税一体改革素案では消費税率を2014年4月に8%、2015年10月に10%に2段階で引き上げるが、内閣府が24日に発表した経済財政の中長期試算によると、素案通りに消費税率引上げが実現しても、2020年度の基礎的財政収支(プライマリーバランス=PB)は、国内総生産(GDP)比で3.0%の赤字となった。金額では16.6兆円となり、消費税率では約6%分に相当する。

 政府は2010年6月に発表した財政運営戦略で「2015年度までにPBの赤字をGDP比で半減させ、2020年度までに黒字化する」との財政健全化目標を掲げ、国際公約にもなっている。だが、今回の試算では、2015年度の半減目標(3.2%)の達成は1年遅れて2016年度となり、2020年度までに黒字化との目標も3.0%の赤字が残ることになり、この赤字を消費税で賄うためにはさらに6%分の引上げが必要なことが明らかになった。

 内閣府の試算は、2020年度までの平均成長率を名目1%台半ば、実質1%強、消費者物価上昇率は2012年度にプラスになった後、中長期的には1%近傍で安定的に推移するとの「慎重シナリオ」に基づいている。また、財政面では、消費税率が2014年4月から8%へ、2015年10月から10%へ段階的に引き上げられること、及び社会保障制度改革の実施などにより一定の歳出増が生じることなどを想定している。

 その試算によると、2015年度の国・地方のPBの対GDP比は、2010年度の水準からの対GDP比赤字半減目標(対GDP比▲3.2%)に対し、▲3.3%となり、赤字半減目標は、2016年度(同▲3.2%)まで1年遅れる。これは、消費増税の時期を当初の2015年4月から2015年10月に半年先送りしたことが主因。2020年度のPBは、▲3.0%、金額で16.6兆円の赤字となり、黒字化目標達成のためにはさらなる収支改善が必要と指摘している。

 経済財政の中長期試算は↓
 http://www.npu.go.jp/policy/policy01/pdf/20120124/h24chuuchouki.pdf

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