2012年01月26日-1
無申告加算税に代えた重加算税賦課を認めた裁決

 国税不服審判所はこのほど、無申告加算税に代えて課される重加算税について、法定申告期限までに納税申告書を提出しなかった請求人の行動を総合勘案し、その賦課要件を満たすとの事例を明かにした。請求人は、当初から課税標準等及び税額等を申告しないことを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をしたといえるので、その意図に基づき期限内申告書を提出しなかったことは、重加算税の賦課要件を満たすとした。

 この事例は、医業・不動産賃貸業を営む審査請求人の所得税等について、請求人が法定申告期限後に確定申告書を提出したところ、原処分庁が、請求人が法定申告期限までに確定申告書を提出しなかったことについては国税通則法第68条《重加算税》第2項に規定する重加算税の賦課要件を満たすとして重加算税の賦課決定処分を行ったのに対し、請求人が、その全部の取消しを求めたものだ。

 請求人は、法定申告期限までに所得税並びに消費税等の各確定申告書を提出しなかったことについて、所得税については申告する意思があってその準備をしていた、消費税等については、経理業務の委託先が申告してくれるものと誤認していた、などとして、重加算税の賦課要件を満たさない旨主張した。しかし、裁決は、以下の請求者の行動を総合勘案し、重加算税の賦課決定処分を認めている。

 まず裁決は、架空名義の利用や資料の隠匿等の積極的な行為が存在しない場合であっても、納税者が、当初から課税標準等及び税額等を申告しないことを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をした上、その意図に基づき期限内申告書を提出しなかった場合には、重加算税の賦課要件が満たされるものと解するのが相当である、との解釈を示している。

 その上で、請求人は、法定申告期限から7年を経過すれば所得税等の納付から免れるとの認識を持った上、経理業務の委託先からの税理士への委任を断り、連年にわたり多額の収入金を得ながら無申告を続けていたことなど、当初から申告しない意図を外部からもうかがい得る特段の行動をした、と指摘。このことから、その意図に基づき期限内申告書を提出しなかったことは、重加算税の賦課要件を満たすというべきであるとしている。

 同裁決事例は↓
 http://www.kfs.go.jp/service/JP/83/02/index.html

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