2012年01月16日-3
会計士試験合格者に係る実務経験の対象を拡充

 金融庁は13日、公認会計士試験合格者が資格を取得しやすい環境を整備するための政令・内閣府令の一部改正案をとりまとめ公表した。主な内容は、現行、監査業務の補助だけでなく、一般の法人等において2年間の実務経験を踏む場合も、資格取得が可能だが、その実務経験の対象を拡充するとともに、正職員以外の雇用形態での実務経験が排除されないことを明確化する。2013年4月を目途に改正を目指す。

 実務経験の対象の拡充は、資格取得の要件となる実務従事の対象を、現行の資本金5億円以上の法人に加えて、資本金額5億円未満の開示会社や、開示会社の連結子会社(海外の子会社も含む)において、原価計算や決算書類作成等の財務分析に関する事務を行う場合にも拡充する。また、国や地方公共団体における実務経験の場合、検査・監査事務を行う必要があるが、それ以外の実務(財務分析)を行う場合にも拡大する。

 改正案の背景には、ここ数年、試験に合格しても就職できない“待機合格者”の増加がある。2011年の公認会計士試験の最終合格者数は1511人、合格率は6.5%と2006年からの新制度移行後、最低を記録した。それでも金融庁は、「合格者等の活動領域の拡大が依然として進んでいないこと、監査法人による採用が低迷していること」などを理由に、2012年以降の公認会計士試験合格者数をさらに抑えることを明らかにしている。

 社会問題化している“待機合格者”の増加に、当局として有効な手立てを講じることができず、苦慮していた金融庁は、今後も需要が見込めないことから、合格者数を抑えることで対応することにし、1300人程度を目安とする模様だ。一方で、4月を目途に関連政・府令を改正し、資格取得要件となる実務経験の対象を拡充するなどで、待機合格者問題の解決に向けた対応策も検討してきたわけだ。

 政令・内閣府令の一部改正の件は↓
 http://www.fsa.go.jp/news/23/sonota/20120113-2.html

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