2012年01月16日-2
税一体改革で実現しそうな相続税の基礎控除の圧縮

 相続税の基礎控除の圧縮など資産課税の見直しは2011年度税制改正に盛り込まれていたが、見送られ、2012年度税制改正大綱においても、全体として資産課税の抜本的見直しを行うものであることから先送りされ、結局、税一体改革素案に盛り込まれた。話題となってからずいぶんと長い道のりだったが、消費税率を引き上げる税一体改革のなかで、高所得層により税負担を求める観点から、やっと実現しそうな見通しとなっている。

 相続税は、基礎控除について、定額控除を3000万円(同5000万円)に、法定相続人1人あたりの比例控除額を600万円(同1000万円)にそれぞれ引き下げる。死亡保険金の相続税の非課税枠についても、現行では法定相続人1人あたり500万円だが、非課税枠を利用できる対象を、法定相続人のうち、未成年者、障害者、相続開始直前に被相続人と生計を一にしていた者に限定し、同居していない法定相続人は除外する。

 相続税の税率構造については、最高税率を、現行の「3億円超で50%」から「6億円超で55%」に引き上げ、税率区分を現行の6段階から8段階にする。こうした見直しに伴い、未成年者控除(現行:20歳までの1年につき6万円)及び障害者控除(同:85歳までの1年につき6万円)については、ともに控除額を10万円に引き上げる。これらの改正は、2015年1月1日以後の相続・遺贈により取得する財産に係る相続税について適用される。

 一方、贈与税については、若年世代への早期資産移転をより一層促進するため、20歳以上の子や孫への贈与を対象に税率構造を緩和する。最高税率は4500万円超で55%(現行1000万円超で50%)に引き上げるが、税率区分を現行の6段階から8段階にし、3000万円以下の贈与は税率が引き下げられる(200万円以下は同じ)。それ以外の贈与を対象とした税率構造も、税率区分が8段階となり、1000万円を超える贈与が細分化される。

 さらに、親子間の生前贈与を促す相続時精算課税制度についても、(1)受贈者の範囲に、20歳以上の孫(現行:推定相続人のみ)を加え、(2)贈与者の年齢要件を60歳以上(同:65歳以上)に引き下げるなど、適用要件を拡充する。これらの贈与税の税率構造や相続時精算課税制度の適用要件の見直しについては、2015年1月1日以後の贈与により取得する財産に係る贈与税について適用されることになっている。

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