2012年01月12日-3
申告期限等から5年経過すれば連帯納付義務を解除

 2012年度税制改正大綱では、相続税の連帯納付義務の見直しが盛り込まれている。同一の被相続人から相続や遺贈により財産を取得した全ての者は、納税義務者の一部に納税を履行できない者がいる場合には、履行できない者の税額を他の納税義務者が相続により受ける利益相当額を限度として、互いに負担しなければならないと規定しているのが、相続税の連帯納付義務制度である。

 しかし、相続人が複数いる共同相続の場合、自分の相続分の相続税を納めても、他の相続人全てが納税を終えるまでは連帯納付義務から解放されないことや、相続後長期間経過後に突然連帯納付義務を追及されるケースもあるため、不意打ちになるとの批判があった。また、本来の納税義務者が延納のため担保提供していた土地の価格が地価下落により落ち込んだときの担保価値の下落リスクを、連帯納付義務者が負うケースもある。

 2012年度税制改正大綱では、この連帯納付義務を解除する場合として、(1)申告期限等から5年を経過した場合(ただし、申告期限等から5年を経過した時点で連帯納付義務の履行を求めているものについては、その後も継続して履行を求めることができることとする)、(2)納税義務者が延納又は納税猶予の適用を受けた場合、の二つを明記した。この改正は、2012年4月1日以後に申告期限等が到来する相続税から適用する。

 ただし、同日において滞納となっている相続税についても同様に扱う措置を設けている。この連帯納付義務の見直しは、以前より日本税理士会連合会などが不合理としてその廃止を強く求めていたもので、今回改正されれば一歩前進といえる。だが、同制度では、納税義務者が3人以上いる場合、履行できない者の税額を他の納税者間でどのような割合で負担するかについて、相続税法には規定がなく、まだ課題は残されている。

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