2012年01月12日-2
グループ間の利子を利用した租税回避へ防止策を導入

 2012年度税制改正では、海外の課税逃れ防止に、国外財産を5千万円以上持つ個人に対し、国外財産調書の提出を義務付けるが、法人課税では、企業グループ間で多額の利子を支払うことで意図的に所得を圧縮する課税逃れを防ぐため、過大支払利子税制を導入する。具体的には、法人が海外の関連者に支払う利子(「純支払利子等」)のうち損金算入できる額に上限を設け、課税所得に減価償却費などを加えた「調整所得金額」の50%までとする。

 関連者の範囲は、その法人との間に直接・間接の持分割合50%以上の関係にある者や実質支配・被支配関係にある者、これらの者による債務保証を受けた第三者等とする。関連者に対する純支払利子等の額は、関連者支払利子等の合計額から、これに対応するものとして計算した受取利子等の額を控除した残額とする。支払利子等の範囲は、利子、利子に準ずるもの及び関連者保証による借入れに伴う保証料等とする。

 「調整所得金額」は、当期の所得金額に、関連者純支払利子等、減価償却費などを加算し、貸倒損失等の特別の損益を加減算するなどの調整を行った金額とする。また、当期の関連者純支払利子等の額が調整所得金額の50%に満たない場合に、前7年以内開始事業年度に同制度の適用による損金不算入金額があるときは、その関連者純支払利子等と調整所得金額の50%相当金額との差額を限度に、当期の損金額に算入するものとする。

 なお、適用除外基準を設け、(1)その事業年度における関連者純支払利子等の額が1千万円以下であること、(2)その事業年度における関連者純支払利子等の額の合計額が総支払利子等の額の50%以下であること、のいずれかに該当する場合は、同制度を適用しないものとする。また、これらの改正は、2013年4月1日以後に開始する事業年度について適用することとされている。

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