2012年01月10日-1
源泉徴収に係る所得税の納期の特例を見直し

 2012年度税制改正での個人所得課税関連は給与所得控除や退職所得課税の見直しが大きな話題となっているが、これらの陰に隠れてはいるものの、実務上重要な改正がある。それは、小規模企業向けの源泉所得税の「納期の特例」の見直しだ。同特例は、給与等の支給人員が常時10人未満の源泉徴収義務者は毎月の源泉所得税の納付を年2回の納付で済ますことができるというものだ。

 源泉徴収義務を持つ事業主は、源泉徴収した所得税を、原則として給与等を実際に支払った月の翌月10日までに納付しなければならないが、給与等の支給人員が常時10人未満の企業の場合は、源泉徴収した所得税を半年分まとめて納付できる「納期の特例」により、1月から6月までに源泉徴収した所得税は7月10日が、7月から12月までに源泉徴収した所得税は翌年1月10日がそれぞれ納付期限となっている。

 従業員の少ない事業所では、毎月金融機関等に源泉所得税の納付手続きをする作業は結構な負担となることに配慮して設けられた特例だが、源泉徴収義務者約400万人のうち約300万人が利用しているほどの便利な制度だ。さらに、納期の特例を受けている企業は、届出することによって、翌年1月10日の納付期限を1月20日に延長できる「納期の特例適用者に係わる納期限の特例」を受けることができる。

 同特例について、2012年度税制改正大綱には、小規模事業者の事務負担や制度の簡素化の観点から、これら2つの特例制度を一本化し、納期限を7月10日及び翌年1月20日とする見直しが盛り込まれた。つまり、改正後は、特例を受けている全ての源泉徴収義務者が届出を必要とせず1月20日まで納期限が延長されるわけだ。改正は、2012年7月1日以後に支払うべき給与等及び退職手当等について適用される。

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