2011年12月26日-3
被災者生活再建支援金は雑損控除の損失から控除せず

 国税庁はこのほど、被災者生活再建支援金の税務上の取扱いについて、所得税の雑損控除の損失の金額から控除しないものと変更したことを明らかにした。所得税の雑損控除の金額については、原則、災害などにより住宅や家財に生じた損失の金額から、保険金、損害賠償金その他これらに類するものにより、その損失の金額を補てんされる部分の金額を控除するとされている。

 2007年改正後の被災者生活再建支援法に基づく被災者生活再生支援金は、住宅が全壊等された世帯を対象に、その被害の程度や住宅の再建方法により支給されるものであることから、これまで、税務上は、雑損控除の損失金額から控除するものとして取り扱ってきた。しかし、東日本大震災の実情などを踏まえ、再検討を行い、このたび、その取扱いを見直し、同再建支援金を雑損控除の損失金額から控除しないものと変更したわけだ。

 この見直しにより、今後、新たに雑損控除を適用し、確定申告書を提出する場合は、見直し後の取扱いによることとなる。また、すでに、東日本大震災に係る雑損控除の損失の金額から被災者生活再生支援金を控除して確定申告書などを提出した納税者については、この取扱いの見直しにより、雑損控除の金額が増加することになり、翌年に繰り越す損失額が増加する場合や、所得税が還付される場合がある。

 この場合の雑損控除の金額の見直しに関する手続きについては、2011年分の確定申告期間が終了した2012年5月以降に開始する。また、今回の税務上の取扱いの見直しは、東日本大震災の実情などを踏まえたものだが、2007年改正後の被災者生活再建支援法に基づき、東日本大震災以外の災害により支給された被災者生活再建支援金についても、遡って取り扱いを変更することとされたので、該当者は留意したい。

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