2011年12月26日-2
税制抜本改革で所得税の最高税率を45%に引上げ

 政府税制調査会は21日の会合で、社会保障・税一体改革作業チームから提出された論点整理を承諾し、所得税の最高税率を現行の40%から45%に引上げる案を決めた。同作業チームは、最高税率の見直しの具体案として、所得税率が45%となる層を課税所得1800万円超とする案から、3000万円超とする案まで4案を示しており、今後は民主党税制調査会との調整を経て1案に絞り、年内を目途にまとめる一体改革の「素案」に盛り込む。

 作業チームの論点整理では、わが国の所得税は1985年代以降、税率構造の大幅な累進緩和を実施してきた一方、近年、給与所得者の所得構造が変化し、1997年以降、平均的な所得水準の下落とともに、分布についても全体として下方にシフトし、特に高い所得階層の割合は近年むしろ高まっていると指摘。こうした所得構造の変化の一方で、税率構造の累進性が低下したままであることから、所得再分配機能の回復を図る必要があるとした。

 そのうえで、所得構造が現在とほぼ同じ姿であった1989年に比べて、どの所得階層でも税による負担は低下していると指摘。最高税率の引下げを含む累進緩和を進めてきた結果、高い所得階層ほど、負担が大きく低下していることを考えると、特に高い所得階層については、格差の是正と所得再分配機能の回復を図る観点から、一定の負担を求め、税制全体としての累進性を確保する必要があるとの改革の方向性を示した。

 最高税率が45%となる見直しの具体案として、課税所得が(1)1800万円超(現行の最高税率の階層を5%引上げ、40%の階層はなくなる)、(2)2500万円超(給与収入3000万円程度から5%引上げ)、(3)2700万円超(税率33%の階層幅(900~1800万円)と40%の幅(1800~2700万円)が等しくなるように設定)、(4)3000万円超(課税所得3000万円超は1999年に引き下げる前の最高税率50%の階層)の4案を示している。

 また、最高税率の引上げと同時に、現行の40%の階層について、適用開始所得を現行の「課税所得1800万円(給与収入2336万円)超」から「課税所得1500万円(給与収入2036万円)」に引き下げる案も示している。この場合の増収見込み額は700億円程度、影響人員は39万人程度(納税者全体の0.8%)という。

 作業チームの論点整理(国税)については↓
 http://www.cao.go.jp/zei-cho/gijiroku/zeicho/2011/__icsFiles/afieldfile/2011/12/21/23zen28kai3.pdf

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