2011年12月22日-3
不服申立、物件の閲覧謄写を審査請求人に認める方向

 不服申立制度の全面見直しを目指した行政救済制度検討チームの「取りまとめ(案)」で、独立して職権を行使する審理官制度の創設を提起しているが、審理官の「審理手続き」に関し、現行の行政不服審査法で処分庁等から提出されたものに限定している「物件の閲覧・謄写」について、処分庁等以外の所持人から提出された物件も閲覧・謄写の対象に加える方向だ。国税不服審判所の審査請求事件で、税理士会等が実現を求めていた。

 それによると、審査請求人に物件の閲覧のみならず、謄写(コピー)についても認めることを規定する。謄写の手数料は、行審法の趣旨・目的を踏まえ、実費の範囲内とする方向で整理。なお、大量の謄写請求は審査庁に過大な負担を与え、簡易迅速な審理手続きの遂行に支障が生じるおそれもあることから、謄写請求を拒むことができる場合についてのガイドラインの策定など、円滑な運用のための措置を講ずるとしている。

 また、閲覧又は謄写の対象について、現行行審法は、審査庁に処分庁等から提出されたものに限定しているが、審査請求人又は参加人の手続き保障の充実を図る観点から、処分庁等以外の所持人から提出された物件も閲覧又は謄写の対象に含める。なお、閲覧又は謄写の対象に関し、審理官が審理手続きを遂行するに当たって作成する書類(例えば口頭意見陳述の調書)の扱いについては、当該書類に関する規定の整理を踏まえ整理する。

 処分庁等からの閲覧又は謄写の請求については、争点整理を促進し、迅速かつ適正な解決に寄与する側面も想定される一方で、行審法が国民の権利利益の救済を目的とし、また、口頭意見陳述においても、審査請求人又は参加人についてのみ質問権を認めようとしていることを踏まえれば、審理手続きの実質的な公正性の確保が肝要であり、審理官の審理指揮に委ねるのが適切である、としている。

 関係資料は↓
 http://www.cao.go.jp/sasshin/shokuin/gyosei-kyusai/pdf/fin/fin_docu_01.pdf

ウィンドウを閉じる