2011年12月21日-2
税制改正が2012・13年の家計に与える影響を試算

 2012年度税制改正大綱の決定を受けて、ニッセイ基礎研究所はこのほど、今後予定されている税・社会保障制度の改正が2012年から2013年にかけての家計の可処分所得に与える影響を世帯類型・年収別に比較した。試算の前提となる世帯類型については、単身世帯、及び専業主婦世帯(妻、子ども2人)を想定。また、専業主婦世帯については子どもの年齢により2パターンに分け検証を行っている。

 税制及び社会保障制度改正が2012年の家計の可処分所得に及ぼす影響については、2012年6月以降に住民税負担が増加することに加え、子ども手当見直しの影響が可処分所得の押し下げ要因として顕在化することから、専業主婦世帯、特に年収1000万円超層で大きく、子どもの年齢が13歳、10歳のケースでは、2011年と比べた可処分所得が18万円程度減少することとなるとの試算を示している。

 制度改正の影響がすべて表れる2014年の家計の可処分所得を2011年と比較すると、単身世帯で年収500万円の場合▲3.5万円、年収1000万円で▲6.8万円と限定的だが、専業主婦世帯では年収500万円で▲11.2万円、年収1000万円から年収1500万円層で▲30万円超、年収1800万円超の層で▲40万円超と、高所得層では可処分所得が大幅に減少することとなる。子ども手当、年少扶養控除廃止の影響が強く反映されるためだ。

 少子・高齢化を背景に厚生年金保険料をはじめとする社会保険料負担の増加が続く公算が大きいことに加え、消費税率の引上げがさらに勤労者世帯にのしかかってくると、経済活力の低下を招き、経済全体の低迷にもつながりかねない。中長期的な視点を踏まえ、高齢化社会に対応できる公平な負担のあり方を国民全体で今一度議論する必要があるのではないだろうか、とレポートは結んでいる。

 レポート全文は↓
 http://www.nli-research.co.jp/report/econo_report/2011/ke1106.pdf

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