2011年12月21日-1
国税の異議申立制度が廃止の可能性

 国税不服申立制度が将来、大きく変わる可能性がでてきた。政府の行政救済制度検討チームが13日、「取りまとめ(案)」を決め、この中で国税通則法における不服申立前置の見直しが迫られるため。現行では、国税の処分に不服がある場合はまず税務署へ異議申立を行い、その決定になお不服があれば国税不服審判所への審査請求、なお不服の場合に税務訴訟というステップが必要だったが、少なくとも税務署への異議申立は廃止される。

 「取りまとめ(案)」によると、個別法の不服申立前置を全面的に見直し、不服申立前置を規定する99法律について、55法律は廃止、8法律は一部廃止、8法律は二重前置主義の一重化、28法律が存置とされた。国税通則法は、異議申立と審査請求の二重前置主義を採っているが、一重化の対象となり、税務署への異議申立制度が廃止され、国税不服審判所への審査請求のみとなる。

 国税不服審判所については、審査請求が「大量的申立」であり、「第三者機関」として、弁護士、税理士、公認会計士、大学教授若しくは准教授、裁判官または検察官の職にあった経歴を有する者で、国税に関する学識経験を有する者が、国税審判官として任用されており、申立件数があり、一定の認容率も認められることから「有効性」があるとして、前置強制に理由があるとして存置される方向となった。

 なお、地方税法(第19条の12)の市町村長等の処分についての不服申立前置及び都道府県または指定都市等の税務事務所等の長の処分についての不服申立前置(都道府県または指定都市等の長に対する審査請求を対象)は、課税標準や税額等に係る要件事実の認定の当否に係る専門技術性については、制度の複雑さに起因するものと考えられるから、特段の事情があるとまではいえないものの、大量申立で一定の認容率もあり存置となった。

 関係資料は↓
 http://www.cao.go.jp/sasshin/shokuin/gyosei-kyusai/pdf/08/08-docu-02-02.pdf

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