2011年12月19日-1
審理官制度導入と55法律の不服申立前置を廃止へ

 行政救済制度検討チームが12月13日、共同座長である川端達夫総務相、蓮舫内閣府特命担当相(行政刷新)及び顧問の仙石由人議員が出席して、「取りまとめ案」を決め、8回にわたる検討を終えた。同案には、「公正さにも配慮した簡易迅速な手続きの下で柔軟かつ実効性のある権利利益の救済」、「国民が救済手続きを一層自由に選択」を掲げ、外部登用を含めた審理官制度の創設、不服申立前置の全面的見直しが盛り込まれた。

 行政不服審査法は1962年の制定から半世紀近くにわたって実質的な見直しがなされておらず、柔軟かつ実効性のある権利利益の救済を図り、行政の適正な運営を確保するための改革として、審理官制度の創設を図るとともに、国民が行政上の不服申立か訴訟かいずれかを自由に選択できるよう、不服申立前置の強制に対し正面から取り組み、個別法に立ち入ってその見直しを行った。

 審理官制度の創設では、独立して職権を行使し、法令と良心にのみ拘束されるものとし、処分の違法性はもとより行政不服審査のメリットを発揮して不当性についても判断するとともに、多様な裁決メニューから最適な解決策を選択すること等により、柔軟で実効性のある解決を図る。審理官は、(1)個別の行政分野を含む専門的な知識経験、(2)法律に関する基本的な知識、(3)争訟手続きの主宰者としてのスキル、が求められるとした。

 また、審理官の任用は、行政庁の実情に応じてなされるべきものと考えられるが、審理手続きの公正性を高める観点からは、弁護士、税理士、学識経験者等の外部人材の登用が適当と考えられる。さらに、審理官の官職としての位置付けについては、独立して職権を行使する等の職務内容を踏まえ、審理官が置かれる行政庁の実情にも配慮しつつ整理する。審理官が置かれる行政庁は、審査庁とは分離するとしている。

 不服申立前置の全面的見直しでは、「大量的申立(概ね1000件以上)」、「第三者的機関の関与」、「専門技術性」の基準を設けて個別法に適用した結果、不服申立前置を規定する99法律中55法律について前置制度を廃止、8法律について一部廃止、8法律について二重前置主義の一重化、28法律について存置とした。意義申立と審査請求の二重前置を採る国税通則法は、異議申立制度が廃止されることになる。

 取りまとめ(案)は↓
 http://www.cao.go.jp/sasshin/shokuin/gyosei-kyusai/pdf/08/08-docu-02-01.pdf

ウィンドウを閉じる