2011年12月14日-4
法制審、社外取締役義務化など会社法改正試案公表

 法務省の法制審議会は12月7日、会社法の見直しの関する中間試案を公表した。同審議会は、会社法制部会において「企業統治の在り方」や「親子会社に関する規律」に係る会社法の改正に向けた議論を重ね、今回の中間試案において、(1)社外取締役の選任の義務化、(2)「監査・監督委員会設置会社制度」の創設、(3)社外役員の独立性強化、(4)「多重代表訴訟制度」の創設、などについての考えを示した。

 中間試案は、社外取締役の選任を義務付ける対象として、監査役設置会社(公開会社であり、かつ、大会社であるものに限る)か有価証券報告書の提出義務がある株式会社に、それぞれ1人以上の社外取締役の選任を義務付ける、という2案のほか、経済界の反発を考慮し、現行法のまま見直さない案も併記した。利害関係者によるなれ合いを排除するため、親会社の取締役や取締役等の親族は選任しない案も示している。

 新制度として設けられる予定の「監査・監督委員会設置会社」は、従来の監査役会に代わるもので、社外取締役を複数置いて業務執行と監督の分離を図る。株主総会で選任し、経営陣の任命や解職に関与できる強い権限が与えられる。3人以上の取締役で構成され、その過半数が社外取締役であることを要件とする。監査役、指名・監査・報酬委員会の設置を必要としない機関設計であるため、経済界からの関心も高い。

 また、「多重代表訴訟制度」は、親会社の株主が子会社の取締役に対して株主代表訴訟の提起を認める措置。現行での代表訴訟は、その会社の株主しか提起できないため、子会社が不祥事などを起こしても親会社の株主は責任を追及できない。これが経済界などで問題視されていた。財務状況の把握が難しい子会社を利用した不正を防ぐことが目的だが、中間試案では、多重代表訴訟制度は創設しないという案も示している。

 中間試案は↓
 http://www.moj.go.jp/content/000082343.pdf

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