2011年12月08日-3
給与所得控除など11年度改正の積み残し事項を整理

 政府税制調査会は6日の会合において2011年度税制改正の積み残し事項について整理した。個人所得課税では、給与所得控除や特定支出控除、短期勤務の役員退職金課税の見直しを、消費課税では地球温暖化対策税(環境税)を2012年度税制改正で実施する方針を固めた。一方で、個人所得課税の人的控除である成年者扶養控除や資産課税の相続税・贈与税の見直しは、社会保障と税の一体改革のなかで改めて議論されることになった。

 給与所得控除については、給与所得者の必要経費が収入の増加に応じて必ずしも増加するとは考えられないことなどから、上限が設定され、その年中の給与収入が1500万円を超える場合の控除額は245万円で頭打ちとなる。また、給与収入4000万円を超える高額な法人役員等の場合は、控除額の2分の1を上限とし、2000万円から4000万円までの間は、控除額の上限を4分の3とする部分も含め調整的に徐々に控除額を縮減する。

 給与所得控除を見直す一方で、特定支出控除を見直す。特定支出の範囲に、(1)職務の遂行に直接必要な弁護士、公認会計士、税理士、弁理士などの資格取得費、(2)職務と関連のある図書の購入費、職場で着用する衣服費、職場に通常必要な交際費を追加。当初案にあった「職務上の団体の経費(勤務必要経費)」は対象とせず、今後の検討課題とする。また、特定支出控除の適用判定の見直し(給与所得控除の2分の1部分と比較)を行う。

 短期勤務の役員退職金課税については、勤続年数5年以下の法人役員(法人役員に相当する公務員・議員を含む)に係る退職所得の課税方法について、退職所得控除額を控除した残額の2分の1とする措置を廃止する。短期間のみ在職することが当初から予定されている法人役員等が、給与の受取りを繰り延べて高額な退職金を受け取ることにより、税負担を回避するといった事例を防止することが狙いだ。

 地球温暖化対策税については、石油石炭税に「地球温暖化対策のための課税の特例」を設け、各燃料のCO2排出量に応じた税率を上乗せする。上乗せ部分を合わせた石油石炭税の税率は、原油・石油製品が1キロリットルあたり2800円(現行2040円)、ガス状炭化水素が1トンあたり1860円(同1080円)、石炭は1トンあたり1370円(同700円)となる。2011年度改正では自民党の反対で実現しなかったが、再度改正案に盛り込む。

 関係資料は↓
 http://www.cao.go.jp/zei-cho/gijiroku/zeicho/2011/__icsFiles/afieldfile/2011/12/06/23zen23kai7.pdf

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