2011年12月05日-3
文科省が寄附金税制の拡充を改めて要望

 両親の年収が少ないほど4年生大学進学率が低く、逆に就職する割合が増えていることから、学生が経済的理由により修学を断念することのないよう、奨学事業の拡充が必要として、文部科学省は2012年度税制改正において寄附金の税額控除制度の拡充を要望している。1日の第21回政府税制調査会では、文科省が「寄附文化の更なる推進について」を改めて要望した。

 同省が提出したデータによると、高校卒業後の予定進路は、年収400万円以下の家庭の子どもの場合4年生大学が31.4%、就職など30.1%、専門学校23.0%、短期大学10.3%、受験浪人・未定5.2%なのに対し、年収1000万円超の家庭では4年生大学62.4%、受験浪人・未定14.1%、専門学校11.0%、短期大学6.8%、就職など5.6%と、特に4年制大学の進学率において歴然と差がついている。

 このため同省では、幅広く財源を安定的に確保し、より一層の寄附を促進するための税額控除の導入を訴えている。学校法人の個人寄附に係る税額控除制度は、大規模な大学法人を中心に活用が進みつつあるが、寄附実績の要件(3000円以上の寄附が年平均100件以上)のハードルが高く、小規模な大学法人や幼稚園・小学校・中学校・高等学校のみを設置する学校法人では、その要件を満たすことが困難な状況にある。

 税額控除対象法人への申請の実績(今年7~11月)をみると、文科相所轄学校法人(大学・短大法人)で申請法人数175(全668法人)、都道府県知事所轄学校法人(幼稚園・小・中・高校等法人)で申請法人数12(全7265法人)にとどまる。7月の学校法人(大学法人)への意向アンケートでも、「すぐに申請/学内手続き整い次第申請」が136法人(25%)、「時間がかかる/分からない/申請しない等」が404法人(75%)にとどまる。

 「時間がかかる/分からない/申請しない等」とする理由では、「寄附金の実績要件が満たせない」が192法人(48%)、「情報公開の要件が満たせない」51法人(13%)、「不明」が161法人(40%)(いずれも申請しない404法人に占める割合)。「申請は予定していない」とする理由については、「寄附金の実績要件が満たせない」が3745法人(85%)と圧倒的に多く、寄附要件の緩和を含む寄附金税制の拡充を訴えている。

 関連資料は↓
 http://www.cao.go.jp/zei-cho/gijiroku/zeicho/2011/__icsFiles/afieldfile/2011/12/01/23zen21kai5.pdf

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