2011年11月21日-4
10年度の外国税務当局との情報交換は倍増の646件

 経済のグローバル化に伴い、企業や個人の海外取引や資産の保有・運用が増加する中、国税庁では、租税条約の規定に基づく外国税務当局との情報交換を積極的に実施している。同庁のまとめによると、2010年度に同庁から外国税務当局に要請した情報交換の件数は646件となり、09年度(315件)から倍増したことが分かった。地域別にみると、アジア・太平洋州の国・地域向けの要請が443件と、全体の約7割を占めている。

 この「要請に基づく情報交換」は、個別の納税者に対する調査等で、国内で入手できる情報だけでは事実関係を十分に解明できない場合に、条約等相手国・地域の税務当局(外国税務当局)に必要な情報の収集・提供を要請するもので、外国法人との取引内容や、海外金融機関との取引内容など、国際的な取引の実態や海外資産の保有・運用の状況を解明する有効な手段となっている。

 例えば、国内法人が、原材料の輸入価格(仕入額)を著しく高額に計上しており、不審だったことから、輸出元である外国法人の売上金額について、外国税務当局に情報交換の要請を行ったケースや、国内居住者について、海外金融資産の運用益発生が見込まれるものの、利子所得等の申告がなかったことから、外国税務当局に情報交換要請を行い、海外金融口座の情報を入手したケースなどがあったという。

 また、こうした我が国からの「要請に基づく情報交換」の増加も踏まえ、外国税務当局に対する自発的な情報提供も積極的に行っている。2010年度に国税庁が提供した「自発的情報交換」は1260件にのぼり、うち644件と5割超がアジア・太平洋州向けとなっている。「自発的情報交換」は、例えば、自国の納税者に対する調査等の際に入手した情報で、外国税務当局にとって有益と思われる情報を自発的に提供するものだ。

 さらに、特定の納税者に関する情報交換のほか、非居住者への利子・配当等の支払いに関する数十万単位の情報を、外国税務当局との間で定期的に毎年交換し、海外投資所得の申告漏れの把握などに活用する「自動的情報交換」がある。2010年度に国税庁が提供した「自発的情報交換」は約16万6千件にのぼる。他方、外国税務当局から国税庁に提供された「自発的情報交換」は約12万3千件となっている。

 この件の詳細は↓
 http://www.nta.go.jp/kohyo/press/press/2011/joho_kokan/

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