2011年11月21日-2
車体課税の存廃でバトル~経産省VS総務省・財務相

 15日の第17回税制調査会(会長:安住純財務省)で「車体課税」について議論が行われたが、経済産業省は、利用者の負担軽減策や円高対策として、購入時にかかる自動車取得税(地方税)と、購入時や車検ごとにかかる自動車重量税(国税)の廃止を求めた。しかし、税収が総額で年間約9100億円に達する有力な財源であることから、財務、総務両省が難色を示し、2012年度改正での見直しは難しい状況となっている。

 経産省は、車体課税は、まだ自動車が一部の富裕層のみが持つ贅沢品だった時代に、不十分な道路インフラを整備する財源確保のために創設されたもので、歴史的な役割をすでに終えている。そうした中、「財政全体の中で自動車ユーザーに負担が偏っており、ユーザーの負担軽減が不可欠」、「(自動車メーカーは)研究開発拠点も含め、海外に拠点を移してしまうおそれがある」として、自動車取得税及び自動車重量税の廃止を強く主張。

 一方総務省では、極めて厳しい地方財政の中で、車体に係る地方税・地方譲与税は貴重な財源と主張。特に、自動車重量税及び自動車取得税収入のうち、約半分(4900億円)は地方の財源(特に市町村にとって貴重な安定財源)となっているとしている。財務省も、「CO2排出量抑制等に向けた地球温暖化対策の観点や国及び地方の現下の厳しい財政状況を踏まえて検討していくことが必要」と消極姿勢を見せている。

 なお、同日同時刻に行われた民主党税調で、燃費の良い乗用車を対象に自動車取得税や自動車重量税を減免しているエコカー減税を、期限が切れる2012年春以降も延長する方向で調整に入った。自動車取得税と自動車重量税自体は2012年度税制改正では見直さず、2013年度以降の検討課題にする。消費税の増税論議を優先させるためだ。2012年度改正のテーマに挙げていた所得課税の配偶者控除の見直しも先送りする見通しが示されている。

 関連資料は↓
 http://www.cao.go.jp/zei-cho/gijiroku/zeicho/2011/23zen17kai.html

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