2011年11月21日-1
法人の消費税不正還付で追徴税額75億円

 消費税は主要な税目の一つであり、預かり金的な性格を有するため、国民の関心が極めて高く、税収等の面でもその位置づけが高まっている。このような状況下、消費税について虚偽の申告により不正に還付金を得るケースが見受けられることから、企業に対する消費税調査はほとんどが法人税との同時調査だが、最近は、輸出企業を中心とした消費税単独の不正還付調査が増えている。

 これは、消費税法では商品の輸出や国際輸送、国際電話、国際郵便などの輸出取引に該当する場合、内国消費税である消費税は外国で消費されるものには課税しないという考えに基づき、消費税を免除していることを悪用し、虚偽の申告により不正に還付金を得るケースが見受けられるためだ。今年6月までの1年間(2010事務年度)においては、8475件の消費税還付法人に対する調査が実施された。

 その結果、74億9700万円にのぼる消費税額が追徴された。また、そのうちの830件は虚偽の申告により不正に還付を受けていたことも判明、12億6800万円が追徴されている。前事務年度と比べると、調査件数は15.3%、不正件数も12.3%それぞれ減少しており、調査による追徴税額は57.7%減少しているが、今後とも国税当局は消費税不正還付に積極的に取り組んでいく方針だ。

 消費税不正還付の事例をみると、架空の資産を計上し消費税を不正還付したリサイクル業を営むA社の例がある。A社は、新規事業の開始に伴い、実際は高額の機械装置をリースで導入したのに、帳簿等を改ざんし、自社の機械装置として架空資産を計上。資産の取得費の全額を課税仕入れとして計上し、消費税を不正に還付する申告をしていた。法人税についても、固定資産として減価償却費を計上していた。

 なお、2011年度税制改正では、消費税の不正還付の未遂について処罰規定を創設したほか、来年4月から還付申告では任意だった「仕入控除税額に関する明細書」の添付を義務化し、同明細書に関して、(1)課税資産の譲渡等に関する事項、(2)輸出取引等に関する事項、(3)課税仕入れに係る支払対価の額等及び資産譲受けに係る取得価額の合計額の明細や課税仕入れ等の税額の合計額、なども記載することとされている。

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