2011年11月17日-4
相続税は海外資産関連、無申告事案中心に積極調査

 国税庁が15日に発表した相続税調査事績によると、今年6月までの1年間(2010事務年度)に08・09年中に発生した相続を中心に1万3668件(前事務年度比1.4%減)を調査し、うち82.5%に当たる1万1276件(同4.0%減)から3994億円(同横ばい)の申告漏れ課税価格を把握し、加算税を含め797億円(同6.9%減)を追徴した。実地調査1件当たり、申告漏れ課税価格2922万円(同1.4%増)、追徴税額583万円(同5.6%減)。

 また、申告漏れ額が多額や、故意に相続財産を隠ぺいしたなどにより重加算税を賦課した件数は1897件(前事務年度比3.7%減)で、その重加算税賦課対象額は609億円(同12.8%減)だった。申告漏れ相続財産の金額を構成比でみると、「現金・預貯金」が33.8%を占めてトップだが、「有価証券」(16.0%)が4.1ポイント減少した反面、隠し難い「土地」(29.8%)が2.6ポイント増加しているのが特徴となっている。

 国税当局では近年、(1)納税者の資産運用の国際化に伴い、海外の金融機関に預貯金や株式を預けたり、資産を運用したりする富裕層がその資産(遺産)を隠匿するケースが見られることから、資料情報や相続人・被相続人の居住形態等から海外資産の相続が想定される事案について積極的な調査を展開、(2)申告・納税義務があるにもかかわらず申告しない者も後を絶たないことから無申告事案の調査にも力を入れている。

 2010事務年度は、海外資産関連事案として前事務年度より30.9%多い695件を調査した結果、国内資産の申告漏れを含めて同28.9%増の549件から267億円(前事務年度比16.3%減)の申告漏れ課税価格を把握した。重加算税を賦課された事案も81件(同6.6%増)把握され、その重加算税賦課対象額は45億円(同30.0%減)にのぼる。1件当たりの申告漏れ課税価格は5047万円(同52.7%減)と相続税調査全体での2922万円と比べ高額だ。

 一方、無申告事案についても前事務年度より67.7%多い1050件の実地調査を行い、うち約76%に当たる795件(前事務年度50.6%増)から1055億円(同39.5%増)の申告漏れ課税価格を把握し、加算税を含め81億円(同64.9%増)を追徴している。1件あたりの申告漏れ課税価格は、1億52万円(同16.8%減)と、相続税調査全体の2992万円をはるかにしのぎ、海外資産関連の5047万円のほぼ2倍と高額だ。

 同相続税の調査状況は↓
 http://www.nta.go.jp/kohyo/press/press/2011/sozoku_chosa/sozei_chosa.pdf

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