2011年11月14日-2
子会社の所在国でタックスヘイブン税制適用が

 中国でマイツグループを経営する公認会計士・池田博義氏の「上海信息」によると、タックスヘイブン税制について、子会社が製造委託した会社の所在国によって同税制が適用される可能性がある旨注意を呼びかけている。中国は、法人税率が25%のため通常は適用を受けることはないが、香港は法人税率が16.5%のため、「適用除外要件」(経済的実体がある場合)に該当しない限り、香港子会社はタックスヘイブン対策税制が適用される。

 「適用除外要件」は、(1)事業基準:主たる事業が株式や債権等の保有、工業所有権や著作権等の提供、船舶や航空機の貸付以外(事業持株会社を除く)、(2)実体基準(事業上必要な固定的施設を有している)、(3)管理基準(自ら管理支配を行っている)、(4)「非関連者基準」あるいは「所在地国基準」(その事業を主として本店所在地国において行っている:物流統括会社を除く)を全て満たす必要がある。

 例えば、日本親会社(A)が香港子会社(B)に製造を発注し、B社は中国製造子会社(C)と委託製造契約を結び、材料を支給した後、C社が中国で製品の製造を行い、最終製品をC社からA社に輸出しているケースでは、前記(4)については、B社の主たる事業が卸売業であるか、製造業であるかによって適用される基準が異なる。卸売業と認定された場合、原材料を非関連者から仕入れており、「非関連者基準」を満たす可能性が高い。

 しかし、B社の主たる事業が製造業と認定された場合は、実際にB社は製造をC社に委託しており、本店所在地国(香港)において製造を行っていないことから、「所在地国基準」を満たさないと考えられる。資産性所得(一定の配当、利子、株式債権譲渡、使用料等)に関しては、適用除外を全て満たした場合でも、合算課税される場合があるので注意が必要としている。

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