2011年11月07日-3
復興増税の開始時期、企業の約4割が「2012年度内」

 東日本大震災の復興債の償還財源として、歳出削減や国有資産の売却を行い、不足部分を増税で充てる案が国会で議論されているが、増税により企業活動や消費の減退が生じ、税収全体の低下を懸念する声もある。帝国データバンクが実施した「復興増税に対する企業の意識調査」結果(有効回答数1万746社)によると、復興増税の開始時期については、「2012年度内に開始すべき」との回答が38.8%と約4割となった。

 一方、「2013年度以降に開始すべき」との回答は33.1%と2012年度内を5.7ポイント下回り、できるだけ早く復興増税を開始すべきと考える企業が多いものの、2013年度以降に先送りすべきと考える企業も3社に1社あり、企業の見解は分かれている。規模別にみると、「2012年度内」は、大企業が41.5%と4割を超えた一方、小規模企業は33.6%。規模の大きい企業のほうが、できるだけ早く増税すべきと考える割合が多い。

 復興増税を2012年度内に開始すべき理由(複数回答)は、「復興のスピードに弾みをつけるため」が80.7%と最多、また、「将来世代に負担を残さないため」(45.1%)、「復興予算の安定的財源を明確にするため」(44.4%)も4割を超えた。一方、2013年度以降に開始すべき理由(複数回答)では、「景気の低迷が懸念されるため」が91.2%と圧倒的に多く、次いで「税収の悪化が懸念されるため」(25.1%)となった。

 復興増税の期間については、「10年程度」が33.2%で最多、次いで「5年程度」が24.3%となり、両者を合わせた「10年程度以内」が57.5%と半数を超えた。一方、「15年程度」(7.7%)、「20年程度」(7.6%)、「25年程度」(5.9%)を合わせた「15年程度以上」は21.3%と2割にとどまっており、企業は復興増税の期間として10年程度までが適当と考えている。地域別にみると、「10年程度以内」では「南関東」が60.3%で最多となった。

 復興増税による業績への影響については、「悪い影響がある」が52.3%で最多、また「かなり悪い影響がある」(11.6%)も1割を超え、両者を合わせた「悪影響」は63.9%と6割を超えた。業界別では、「悪影響」と回答した企業が「小売」(69.9%)と「運輸・倉庫」(68.3%)では約7割となった。業種別では、「教育サービス」(83.3%)や「医薬品・日用雑貨小売」(81.0%)など、特に個人消費に関連する業種で業績への悪化を懸念している。

 同意識調査結果の詳細は↓
 http://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/keiki_w1110.pdf

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