2011年11月07日-2
赤字法人調査で1割強の約6千件が黒字に転換

 今年6月までの1年間(2010事務年度)における法人の黒字申告割合は25.2%と3年連続で過去最低を更新し、7割強の法人が赤字だが、このような状況に便乗して実際は黒字なのに赤字を装う企業が後を絶たない。2010事務年度中に法人税の実地調査をした12万5千件のうち4割強にあたる5万2千件は無所得申告法人の調査に充てられ、うち1割強の約6千社が実際は黒字だったことが、国税庁のまとめで判明した。

 調査結果によると、実地調査した5万2千件のうち約7割にあたる3万6千件から総額6592億円にのぼる申告漏れ所得金額を見つけ、加算税額を含む488億円の税額を追徴した。調査1件あたりの申告漏れ所得金額は1263万円となる。また、実施調査したうちの約4件に1件(24.0%)の1万3千件は仮装・隠ぺいなど故意に所得をごまかしており、その不正脱漏所得金額総額は1605億円にのぼった。

 2010事務年度の無所得申告法人調査は、東日本大震災の影響から前年度に比べ7.3%減の実地調査を行い、申告漏れ件数も7.1%減、不正計算のあった件数も6.4%減となった。この結果、黒字となった法人が約6千社あったわけだが、調査で把握された1件あたりの申告漏れ所得1263万円は、前年度から約4割減少したものの、法人全体の平均1007万円を大幅に上回る。不正申告1件あたりの不正脱漏所得金額は1279万円となっている。

 なお、2010事務年度は、事業を行っていると見込まれる稼働無申告法人5278件(前年度比54.4%増)に対して調査を実施し、法人税について102億円(同73.1%増)、消費税についても55億円(同28.6%増)を追徴課税。そのうち402件(同36.3%増)は、借名口座を用いて利益を隠ぺいするなど意図的に無申告であった事案であり、法人税は69億円(同132.2%増)、消費税は12億円(同37.0%増)の追徴課税を行っている。

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